Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

『きみと、波にのれたら』

★★★☆

予告編の「えー…」を引きずりすぎて、めっちゃ期待値低い状態で最終日に慌てて観に行ったんだけれど、思ったよりぜんぜん楽しめて良かった。


 特に前半はさながら『アマガミ』みたいで嫌いじゃない(笑)し、途中からあっきらかに頭おかしい展開になるところも湯浅監督らしさが全開で思わずニヤリとする。前作『ルーのうた』があまり好きじゃなかったのは、あっちこっちにとっちらかってる脚本のずさんな感じが苦手だったからだけど、今回は一転して一本筋でブレがない、盛り込みすぎない、どストレートで、そしてテンポ良く進んでいく内容だったのも個人的にばっちりだった。大学生の書いたシナリオみたいな陳腐さ(いくらなんでもピュアすぎるところ)があるのは否めないけれど、だからこそ難しいことを考えずに、めっちゃかわいいキャラデザや、ポップでやわらかい美術や、最高のアニメートに集中できたなと思う。実はこういうほうが湯浅監督の“らしさ”が出ているかもしれない。見終えた後に何が残るかっていえば、そういうタイプの映画じゃないなとは思うんだけれど、「湯浅政明のカワイイ」が詰まっている佳作。

ただ、クライマックスだけはマジでダメで、こういう「アニメーションの魔法」を使ってファンタジーな問題解決をしてしまうからアニメは現実に敗北するんだぞって、スキキライを通し越して批判をしなきゃいけないなとすら思う。百歩譲って、7月18日以前ならまだ許せたけれど、こういう内容を間違っても京アニの人には見せたくないし、世界でアニメーションを愛する方々に納得してもらうことはこれからますます困難になっていくと思う。もちろん監督も、あの事件の後にこういう安易な問題解決(“問題”は問題ではなく、その解決方法ね)を描こうとは思わないだろうから、そこは気の毒だと思うけど、まじで、まじでこういう内容はもういい加減にしないといけないよな、その後にもう一回ドン底に突き落とす展開になってあれがあるからせめてマシに思えるけれど、冷静に考えてあのクライマックスはよくない、つまらないというより、やるべきじゃないって心から思います。アニメーションの魔法を履き違えちゃいけない。そこは安易になってはいけない。

いろいろ書いてしまったけれど、消防士さんには、これからも頑張ってほしいです。