★★★★☆
抜群に絵がいい。ジョルジョ・デ・キリコと滝平二郎が一緒に描いてるみたいなハイセンスな1コマ1コマに最後まで圧倒された。ダイアローグぜんぜん読まなくても話がわかるくらいキャラクターの表情が生き生きしていてそこもすごい（これが実は一番すごいかもしれない）。さらに読み終えてやっと気づいたけど、全編でオノマトペが全く使われてない！夏の電車を降りたときの「わっ。」で蝉の声が聞こえて来たのはすごかった。ほとばしるくらいの漫画への情熱だ。なんちゅう才能だろう。
さながら舞台劇のような歯切れのいいセリフ回し、心の背がすっと伸びるときをやさしい眼差しで描いた物語もとても良かった。登場人物と同期して、読んでいる時も心がぐらぐら動いたな。体感はほぼ映画1本分、という絶妙な長さで終わったのもグッドだった。いい意味で、ボカロの曲をカーンと聴き終えた感じ。（調べたらamazarashiとタイアップしたらしいけど個人的にはもうちょっと明るい音楽のイメージだな）
しかしこれと『ハナチュウ』と『egg star』を全部たまたま同じ日に読んでしまって傑作が続きすぎでもう吐きそう。頭バグってきた……。
