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吉田秋生『海街diary』9

★★★★☆

これが出てたのは、去年だし*1、買ったのは確か2019年に入ってすぐだったと思うけれど、やっぱ読んだら"終わっちゃう"から、それがちょっと嫌で今まで封を切れていなかった。でも、今年が終わるまでには、と思って、弟が婚約者を連れてきた夜に、ようやく手に取った。『海街diary』が終わった。

取り立てて大きなエピソードがあった巻ではない(なんて言うとチカちゃんが怒るかもしれないけれど)。物語全体のピークは多くの方が指摘する通り「群青」だったと思う。それでも、ひとつひとつの言葉や、想いや、そしてイマジネーションが作品世界を形作ってゆくさまは正に僕が大好きな大好きな『海街diary』そのもので、ゆっくり、そしてきっとこのまま描き綴ることも十分可能であろうその瞬間に、物語は、残り香をふりまいたまま走り去ってしまった。とても、とても大きな余韻を残す幕切れだったと思う。

番外編は「ウソッ!?」って切り口から攻める内容で、また味が違うのが良かった。ああ、終わってしまった。いや、終わってしまったのかな? 多分、終わってない。終わってないんだろうな、これが「最終巻」だったとしても。優れた物語は、鑑賞者の中に小さな港町を作り出すんです。知ってました? 覚えて帰って下さいね。このシリーズに出会えて、心から、よかった。

自分は、もしも60歳くらいまで生きられたとしたら、このあたりまで行きたい、と思います。(目標は高く!)

*1:執筆時点。いまこの原稿を書いてるのは2019年11月16日です。