Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

いつまちゃん『来世ではちゃんとします』1

★★★★☆

好き!! とある映像プロダクションで働く4人はそれぞれ「性的にこじらせています」から始まるオムニバス4コママンガなのですが、まずギャグが好きで(「セフレよりセフレの犬が好き」「ドヒョォォォォ女性ホルモンがおどる〜!!!」)、ドライな空気感に身も蓋もないストーリー、筆者の鋭い観察眼、そして「どこかに自分がいる」ようなユーモアとキャラクターへの哲学がとってもいい。大森さんのセフレA・B・C・Dもソープ嬢の心ちゃんも、回を進むにつれてどんどんバックボーンや人間性が見えていくのが本当にうまいし、そしてスタジオデルタの中ではみんな仲いいのがホンマめっちゃグッド……ここだけフィクションだよなって思ってしまうくらい、そこが尊い……。ぶっちゃけ絵はそこそこ雑なんだけれど、不思議なくらい「だからこそリアル」に重なって見えてくるものがあって。ああ、「普通の子」の存在って普通じゃなかったんだなと思える瞬間とか、こんな感覚って当たり前じゃないんだと気がつく夜とか、例えば生きていくことが水泳なら水面に上がるときの息継ぎの瞬間に、この物語は小さな小さな希望を宿す。それがマッチ棒くらいの灯りでも、みんなそれで生きていくしかないんだよね。<まーいっか/来世からちゃんとしますということで>ってワードの、クソしょうもない程度の肯定感、すっごくいいな。

しかし映像業界下請けワードがあまりにもリアル過ぎて、取材モノだとはとても思えない。知り合いとは言わずとも名刺貰ったことある人がこれ描いている可能性ある……。