Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

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クラムボン『2010』

「そのバンドをはじめて聴いたときのオリジナルアルバム」は、思い出補正も加わって、キャリアで一番の名盤だなと未だに思っちゃっていることは少なくない。自分だとミスチルの『I ♥ U』とか、スピッツの『ハヤブサ』とか、the pillowsの『Thank you, my twilight』とか、ソウル・フラワー・ユニオンの『カンテ・ディアスポラ』とか……。そしてクラムボンの『2010』もまた、自分がクラムボンで一番好きなアルバムだし、同時に最高傑作なのではと思っている。


イントロ曲をはさみ、ミトの娘に捧げられたという素晴らしいインストゥルメンタル「KANADE Dance」がかかり始めた瞬間はいきなり最高だし、そして3曲目にしてようやく歌モノに入る「NOW!!!」はクラムボン史上でも随一のドカドカうるさい希望に満ち溢れたポップロックナンバー……最後のブレイクのところがマジでたまらない。そして間髪入れずに始まる4曲目「SUPER☆STAR」は、一転してシンセサイザーがスペイシーに広がる、ブラックミュージックも入ったダンスナンバーに。元ネタはもしかしたらあるのかもしれないけれど、今書いた「スペイシーなシンセサイザー」とか「ブラックミュージック」とか「ダンスナンバー」とか、実際にはそのどれにも似ていないオリジナリティあふれる音楽世界なのが本当に大好きだ。歌詞もなんだかめっちゃ好き。この「なんだか好き」がいい。「なんだか」なところが……。

そして5曲目! 実はクラムボンで一番過小評価されている気がする超ド級キラーチューン「JAPANESE MANNER」!!ここまで何て完璧な曲順なんだ!!クラムボンらしいサウンド構成なのに、めちゃくちゃ捻くれた音楽になってて短くてアップテンポで歌詞がロックしてて……もっとモテていい曲だよ。調べてみたらレコ発以来10年間で1回しかライブ演奏してないらしい。もったいねえ。MVもなんだかわからなくて最高にステキ。大好きだ。

これは後追いしてから気がついてったことだけれど、クラムボン初期の「シカゴ」みたいなオシャレポップナンバーも、「サラウンド」みたいなガーンとうるさいロックポップも、『id』の頃の音響系アプローチも、「バイタルサイン」やライブ盤のような最小トリオ構成も、「THE NEW SONG」のような現在まで通じるクラムボン的シングル曲も、この後に増えてくるmitoの得意な泣かせストリングス・トラックも、このアルバムには全部がハイレベルに収まっていて、その意味でもとんでもない完成度の作品に仕上がっていると思う。ジャケットデザインの素晴らしさもひっくるめて、オリジナルアルバムを聴くなら間違いなく『2010』からがいいだろう。前回取り上げた「tiny pride」も、アルバムを締めくくる壮大な「あかり from HERE」も圧巻。ぜひ一度手に取ってほしい名盤です。