Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

エルセとさめのぽき『SPLASH』

★★★★★ 

https://booth.pximg.net/054507eb-1301-4878-8fd6-fbb7debd2748/i/2810169/fc202e64-2b4a-4158-b0df-87b056b9cb5b_base_resized.jpg

やってくれたなあ!

やってくれたなあ!!

ヴォーカルのエルセ、さめ(トラックメイカー)のさめのぽきによる音楽ユニットのセカンドアルバム。ただ、1枚目のアルバムは既に入手困難なので実質初アルバムと言ってよさそうかな。

とにかく先行して世に出ていた数々の名トラックからの期待を全く裏切らない、圧倒的なクオリティとボリュームでぶちのめしてくる全14曲。打ち込みメインのトラックも勿論いいけれど、まばゆいギターにメロディアスなキーボード、躍動感あるバンドサウンドはまさに正統派ジャパン・オルタナティブ・ロック! 何より、アルバム全体を串刺しにする世界観とグルーヴ*1がオリジナリティの塊で、あたたかくも残酷、繊細でエモーショナルな音楽たちは圧倒的です。……というかサポートのバンドメンバーがおらず、全てのインストゥルメンタルがさめのぽき名義なんだけどマジか!!マジかよ!!!ギターもキーボードもクオリティ高すぎだろ!!!!*2絶対ただのカタギ(さめ)じゃないでしょ!!!!!

エルぽきの新たな名刺代わりとなるであろう名曲「STAR」、リミックスされ破壊力が増した「.NEW WORLD」、歌詞も見事なバラード「ghost」、普通にシングル曲みたいな「バスルーム」、夏三部作へと物語を繋ぐエモーショナルな「n a g i」、この中ではかなり異色作となるビートロック風の「深海列車」などなどなど、今どきアルバム曲として入れとくには名曲がありすぎて頭がおかしくなる位のとんでもないアルバム。そして、「アルバム曲」として最初に聴かせてくれてありがとう、の気持ち……! アルバムのロマンチックをまだ共有できる人がいるんだ、というだけで僕には勇気でした。そして「STAR」や「ghost」、そして「深海列車」なんて正に!!だけれど、ライブハウスでの熱気あるバンド演奏が今から目に浮かんでしまう。V...いや、あまたの日本のミュージシャン全部ひっくるめて、いま一番、生バンドでのライヴが見てみたいアーティストだ!

あえて言えば、多くの歌詞が抽象的、または観念的なので(それ自体がコンセプト、あるいはストーリーなのでしょうがないのだが……)、そこが人によってハマれるかどうか。好みが別れるとしたらそこだけ! そこさえ乗り越えたらあなたの“今年の10枚”に最速ノミネートすること間違いなしです。そういえば言い忘れてたけど、VTuberのオリジナル音楽だぜ。

『SPLASH』のCD版はboothで販売中、ストリーミングは2021年10月解禁予定とのことです*3。CD限定の「この世界について」のさめのぽきカヴァーは、エルセへのメッセージのようにも聴こえました。

*1:海の中、というコンセプト以上に、かもしれない。このグルーヴ感が串刺しにしているものは。

*2:ギターとキーボード、別の人かと思うくらい人格が違う!すごい!

*3:2021年5月26日執筆現在。

BBHF「黒い翼の間を」

★★★★☆

ああ……来た、という感じ。

名盤『BBHF1 -南下する青年-』以来となる新曲は、初めてストリングスをフューチャーした壮大なアンセムになっている。音楽世界の巨大さ(広大さ)も、歌詞で描かれる生活のささやかさも、文学的な比喩も、そしてどこまでも伸びやかにのぼってゆく尾崎のヴォーカルも、熱のあるバンドの演奏も、すべてが素晴らしい。BBHFが獲得している見事な音楽的スケール、そしてGalileo Galileiのころの「しっかりシングル曲も書ける」ところが、完璧に融合した名曲だろう。そろそろこんな曲が来るんじゃないかな、って、心のどこかで期待していたんだ。そしてそれは、僕だけじゃないはずだ。やったぜ、BBHF。そうそう!こういう絵だよ! って感じのMVもバツグンに素晴らしいです。きれいだ……。

HoneyWorks『告白実行委員会 -FLYING SONGS- 愛してる』

★★★★

声優が歌唱していない(キャラクターを演じながら歌っていない)オリジナル・アルバムとしては、何と『好きになるその瞬間を。』以来6年ぶりとなるHoneyWorksの新譜。

全14曲、全てが未発表の書き下ろし新曲である。去年だっておびただしい量の曲を書いてたやん!! どこにあんだよそんなバイタリティが!! (しかも、うち7曲がshitoである!怪物!!)

事実上の表題曲である「LOVE ANTHEM」が力強くアルバムの幕を開け、最近多く書かれている架空の女性アイドル”mona”のキャラクターソングを中心に前半は進んでゆく。リードナンバーとしてMVが制作された「誇り高きアイドル」は特にすさまじい曲で、ステージの上で挑み続けることへの反骨と逆風を力強く、そしてタイトル通り誇り高く歌い上げている。これらの「闘い」「生き延びる(サヴァイヴする)」といったテーマはshitoの他の曲でも多く表れていて、このアルバムのカラーだとすら思えた。どうしてshitoがこんなモードにいま入っているのかは正直よくわからないけれど、とにかく、カッコいいです。惚れる!!!!

途中途中に挟まれる"Full Throttle4"の楽曲もEDM調のエモーショナルなものばかり。加えて「人生は最高の暇つぶし」にはカントリーアレンジが施されていて*1、どちらにも共通するアイリッシュな響きが多いのも自分の趣味に近くて嬉しかった。今回のヴォーカリストの中では大抜擢だった星川サラも「可愛いねって言われちゃった」をばっちりと歌い上げていたし、「ホントノワタシ」はKotohaの名演が光る。途中途中でVocaloid(など)が挟まる構成もほとんど違和感なく聴くことができた。一方で曲調はJ-POP、アニメロック、ゴリゴリEDMが混在するので正直アルバムとしては若干統一感に欠けていたのも否めないけれど(本当に「出来上がった順」で詰め込んだようなアルバムだね)、このごちゃっと具合も含めて久々に、ものすごく、ものすごく、ハニワって感じのアルバムだった。そのポップセンスと、アーティストとしての意志と、まだまだ尽きないバイタリティを存分に発揮したパワフルな1枚です。

*1:アレンジや歌詞の感じも相まって、ハンバート ハンバートを彷彿とさせた。

PEOPLE 1『Something Sweet, Something Excellent』

★★★★

PEOPLE 1、通算3枚目のEP。

昨年末に発表された佳曲「113号室」が収められているほか、1曲目からガンッと気持ちを盛り上げてくれる「悪玉みたいに」や、見事な愛の賛歌「ラヴ・ソング」も光る相変わらずのグッド・ソング・コレクション。行けねーけど初ギグも決まったみたいで、いよいよ2021はこの人たちの年になりそうです。

KMNZ『KMNROUND』

★★★★☆

2MCユニット、KMNZのセカンドアルバム。

「旅」がテーマで、「どうせ今は旅行なんて行けないし、このアルバムで旅気分を味わってくれ!」とワールドミュージックを全面的にフューチャーしたコンセプチュアルな1枚になっている。

「JOURNEY」のからっとした空気、ザ・おめでたズを客演に迎えた「TOKONATSU STYLE」のけだるいレゲエ感、”こんな2020年→2021年だから“を意識している「DAYDREAM」の脱力感ある楽しさも嬉しい。そしてアイリッシュ・トラッドを取り入れた「AND」はしっかりとアルバムを締めくくる名曲。重ねてだけど、テーマが貫かれているのが「作品感」をめちゃめちゃ上げていてそこが超好みです。しっかりしてる!

前作に引き続き、ま~~~全曲クオリティが高い高い!! 単にセンスがいいだけじゃなくて、ポップだし、聴きやすい(とっつきやすい)し、ちょっとシャレたユーモアが全体を大きく包み込んでいるのが本当にステキ。前作とはまた変わったアプローチで、音楽的な懐の大きさを示したのも見事です。そして変わらず相性バツグンなんだこの二人のヴォーカルの個性が。もっと聴かれていいアーティストなんだよ、本当に。

前作から1年半ぶりの「アルバム」と銘打たれているにも関わらず、新曲は実質わずか5曲、LP片面もないボリュームなのは正直残念…と思わなくもないのですが、これは前作から既にそうなので、もうプロジェクトの体力的な問題なのかもね…大人の事情というか、色々しょうがないことなのだろう(でも、KMNZがタワレコに並ぶ光景はまだまだ夢見ているよ)。あと、ストリーミング版はやたら音圧が小さくて「アレ…?」と思ったのですが(先行配布データも同様)CDからリッピングした音源は問題なかったので、手元にある方はCDで聴くのがオススメです。

crystal-z「rope5」

★★★★

「Sai no Kawara」のcrystal-zが発表した新曲。

「あれから、何が起きたか」が綴られている。私小説的な雰囲気を前作よりも強く感じつつ、最後は(またしても)見事な大仕掛けでセンセーショナル(?)に楽曲は締めくくられています。ある意味、前作よりも重い、鬱々とした日々のモヤモヤにか弱く立ち向かう姿は、あの「年齢なんて」「夢は何度だって…」という燃え上がる想いとは大きく違っていて、もしかするとより身近に歌い手のことを感じ取れるかもしれない。

向こう岸の君が眠りにつく
俺は夜の長さに絶望する
獣に形変え襲いかかる鬱
飲み込まれないようマシンのパットを打つ
日々の生活のこと 溜まる洗濯物
面倒くてもこれもHip-Hopなんだろ
殺さない家蜘蛛 「この子は縁起物」
そう笑う君との約束も守ろう
マイクは天から垂れる蜘蛛の糸
ライム手繰り寄せて上る一歩
Hip-Hopがくれた 一発逆転のヒント
亡者の声は雲の上に残る一生

そして同時に、「この星で、この国で、おそらくどこにでもありふれている物語」である、という軸はブレていないことにも勇気をもらったり。そう、私小説ではあるけれど、これは2020年のあちこちで起きていたかもしれない物語。

川が流れてる 天の川って言う