Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

保谷伸『まくむすび』1

★★★

これは合わなかった……! テーマも、設定も、軽快なセリフ回しも、そしてこれから展開するであろう内容もかなり自分のツボなんだけれど(特に即興劇するところ、ぽろっと次のセリフがアドリブで出てきたところはすごく良かった)、こんなに演劇をバカにする生徒や教師も逆にリアリティないよなとか、テンションの高い芝居じみたところがウソっぽく感じちゃうなとか……。

正確な表現ではないけれど、この作品の「『ジャンプ』みたいな少年マンガっぽさ」が、自分にはちょっとダメだったな。そういうのが苦手でなければ楽しめると思います。

あとどーしても、自分の知っている演劇部とはいろいろ乖離しているのが、気になって……*1

*1:進学した高校に演劇部がなく、その時は憧れだった高校演劇に挫折した経験があって。その辺の個人的なトラウマもあるのかな。

荒川弘『銀の匙 Silver Spoon』15

★★★★☆

なぜか最終巻がぜんぜん出ない状況になってしまって、週刊誌連載にも関わらずこれが実に3年ぶりの新刊。正直、3〜4巻前から読み返さないといけなかったくらい内容も忘れてしまっていた。が、その理由がこれだったのか、まさかラストシーンの取材予定先で戦争が起きていたとは……。

特にドラマチックな新展開はなく、これまでの流れをそのまま引き継いだ形でテキパキとまとめ上げた幕切れ。「奴隷のように扱われる農業高校」というネタが久々に反芻されてたけどもう遠い過去のようで、もちろんその部分も大好きだったけれど、やっぱりここ数巻の起業編は別格の面白さがあった。あとがきでやんわり否定していたけれど、それこそ『北の国から』みたいに、5年おきくらいで1、2冊続きを描く(25歳の、30歳の八軒を取り上げる)みたいなのも読んでみたいなぁ。今年、農業も激動だったと思うし。農業高校へ進学した同級生の、久々の近況を聞くみたいに、また描いて欲しいな思える作品です。星の数はシリーズトータルで楽しめたことも込みでつけました。

とあるおまけマンガのブラックジョークっぷりには転げ回って笑ってしまった。ロシアと日本も仲良くできるといいね。

……でも実は、今回一番感動したのが、幕間に入っていた作者の一言かもしれない。

<「俺も私もマンガ読んで/ミーハーで農高入って/馬術部コースでまわりから/農業なめんなって言われて/……でも頑張ってる!!」(中略)
 (このキャラクターに)名前つけるのやめようと思いました。/この子は周りの声を気にしないでがんばってる君だ!!>

山田金鉄『あせとせっけん』8

★★★☆

イベント系がひと段落したこともあって、原点回帰なアプローチが多かった第8巻。ワン・センテンスでも結構話が広がるのがグッド(今さら「においの形」みたいな話をやるのが逆に良かった)。とはいえこれ、どこまでやるんだろうな……。

仲谷鳰『やがて君になる』1〜2

★★★☆

好みの話をしてしまえば、もっとバチバチしてる百合のほうが性癖なので、まぁそこもあるにはあるのですが、一方的に好きになってイマイチその理由がわからない七海にも、アセクシュアルを真正面から描く……というわけでもなさそうな小糸にも、そこまで感情移入できないまま、見守るように読み進めた。こういう若さを描いているんだろうな、とも感じたとはいえ……。「こうなってほしい!」みたいなシナリオライターの自分も騒いでいますが、じっくり先の巻へと進んでゆきたいと思います。

志村貴子『おとなになっても』3

★★★★☆

 <私の思考は突然あちこちにばらけ始める/集中力が続かない/かと思えば/何かひとつにとらわれる>

昨日の自分も、明日の自分も、いまの自分とはまるで違う自分。こころは言葉に直らない。いつもわけがわからない。それでも自分は動き続ける。いや、「滑り続ける」「流れ続ける」というほうが正しいのか……。

名づけられない関係、名づけられない状況、名づけられない行動、そして、名づけられない気持ち。世界のグラデーションのごくごく淡いところまで、深くしっかりと描かれた志村貴子スペシャルな作品。これ読むとあの『娘の家出』すらまだ途中だったのかもと思わせられる。

そして結局のところ、どこまでもバカバカしくてコミカルで、そして何よりロマンチックなんですよね。そう、この「ロマンチックさ」よ!!

Cuvie『絢爛たるグランドセーヌ』14〜15

★★★★

演じる喜び、跳躍する快感、そして「若き天才」とシンクロできる読書体験。"運動"が自己表現かつ自己実現にもなっている、って、自分は学校で教わらなかったことだな。なんだか悔しいな。

自由に身体が動く、火照った肉体で踊り上げる……なんて、読者が味わえる「架空の快感」が素晴らしい作品です。舞台をイギリスに移しての新章突入にもワクワクワク。もっとウケていいマンガだと思うけどなぁ。

……が、最後の最後のあとがきで、やはり残酷すぎる時代に引き戻された。「現実の奏」は今ごろ、イギリスからの帰国を余儀なくされ、コンクールを奪われ、大好きなレッスンすら受けられないまま、過ぎていく身体のピークタイムを今も失い続けているはずなのだ。刊行当時の2020年4月から、状況はますます不可逆的に悪化するばかり。こういう国際色豊かなバレエスクールは、2019年が人類史上最後の景色になるのかもしれないね。