★★★☆
オーストラリアのロックバンド、Gang Of YouthsのEP。時系列ではファーストとセカンドの間になる。
『Go Farther in Lightness』よりはスロウな、美しいサウンドをスケール感たっぷりに展開させていくインディ・ロックっぽさの強い1枚。6分、7分と長い曲が多いのもEPならでは。「The Good Fight」みたいな躍動感が好きなので、もうちょっとそういう曲も聴きたかったけれど、十分にステキでした。
★★★☆
オーストラリアのロックバンド、Gang Of YouthsのEP。時系列ではファーストとセカンドの間になる。
『Go Farther in Lightness』よりはスロウな、美しいサウンドをスケール感たっぷりに展開させていくインディ・ロックっぽさの強い1枚。6分、7分と長い曲が多いのもEPならでは。「The Good Fight」みたいな躍動感が好きなので、もうちょっとそういう曲も聴きたかったけれど、十分にステキでした。
★★★☆
VTuberをヴォーカルに迎えたコンピレーションの第三弾。
「Vol.1」ではスターをずらりと揃えてエレクトロアレンジ、「Vol.2」では歌うまを揃えて00年代歌姫曲の豪華カラオケ、ときて、「Vol.3」はかなり振り切ったアイドル&ガールズポップのカヴァー集になっている。アレンジのプロデューサーにAKB48のサウンドチーフPを起用したこともあって、前回のカラオケ風なチープさ(あれもコンセプトだったとは思うけれど……)が一掃され、全体的にかなり力の入った、聞き応えのあるものになっている。キャスティングも、アイドルっぽい歌声の子でガッと揃えた感じ。こういうのが好きな方はさらに気にいると思う。
個人的には詩子お姉さんの「気分上々↑↑」が良かった。初めてこの曲をじっくり聴いたけれど、意外なくらい新鮮に感じたというか、イマっぽさがあったのが嬉しい発見だった。詩子お姉さん、もっと「うたのおねえさん」やればいいのにな〜。
「Vol.4」があるとしたら、今度はオール男性ヴォーカルとかでも聴いてみたいかな!
★★★★
サンボマスターのトリビュートアルバム。
1曲目のSUPER BEAVERから「これこれこれ!!」って感じの豪速球ストレートど真ん中が聴けて最高。そしておふざけ完全封印で“挑んだ”ヤバTの「光のロック」聴いてたら良すぎてなんか泣いちゃった……ずるい……。
必ずしもそんな「ど直球カヴァー」ばかり入っているアルバムではないのですが、ベテランはサラッと、若手は野心むき出しで、それぞれ最大限のリスペクトを込めているのがとても気持ちいいアルバム。My Hair is Badの「ラブソング」、10-FEETの「さよならベイビー」みたいな、なんとなく想像できる期待通りのものが実際にばっちり仕上がっているのも良かった。何より原曲のポテンシャルをまざまざと見せつけられるのが嬉しい。いや、ほんと、1曲目と3曲目だけでお釣りが返ってくるくらいの「THIS IS サンボマスター」ぶりです。おすすめ!
★★★★
HoneyWorksの3年ぶり、メジャー5枚目となるアルバム。2枚組、全24曲というフルボリュームだ。
一番大きな変化は、3年前はまだなかった「アイドル」のストーリーが入ってきたことだろう。10代の「ふつう」の少年少女たちの物語に、ステージの上で歌い踊る華やかなショウの世界がバリエーションとして加わった。1曲目の「ヒロイン育成計画」からshitoのどポップなセンスにタコ殴りにされていきなり最高。「生意気ハニー」の、ゆっくり歩んでゆこうとする若い二人の物語も素敵だし、「選んでくれてありがとう。」のまさかのカントリー調アレンジも……ああ、ほんとにshitoすげえなと……。
ディスク1のハイライトは「レンズ越しの景色」。どの物語からも独立して描かれる切ないストーリーは、イラストレーターのヤマコが初めて作詞を手がけたことで生まれたみたい。かなり大きめに想像の余地がとられた内容になっていて、わりと細かく描写している他の曲からいい意味で変化があった。この曲はメロディもいい!これもshitoの筆です。なんたる才能だろう!
shitoの曲ではないものだと、ポップで軽快な「ワタシノテンシ」や、チコハニとも微妙にニュアンスが違うロックナンバー「ラブヘイトマジョリティ」が良かった。ま、これまでのアルバムと楽曲が重複していたり(その後の曲の導入にするためなのだが)、唯一のガチ歌手であるこいぬの歌唱力だけずば抜けすぎていたり(またシンガーさんが歌ったCDも聴きたいけど、もう無理なのかな……)、こうなっちゃうんだろうな、と思える部分もあるにはあったけれど……。
でも。正直マヌケだな、と思ってたアルバムタイトルが「そこから取ったの!!」と気づけた時の感動とか、「また『東京〜』シリーズねぇ……」とタカを括ってたら「恋が迎えた「秋」」を描くことで全ての曲よりも一歩先の景色を見せ、見事にアルバムを締めくくった「東京オータムセッション」のフィナーレとか……*1、相変わらず「詩」として、表現として込められた仕掛けやメッセージひとつひとつにばっちり心を打たれてしまう。やっぱり追いかけていたくなる、何というか、不思議なアーティストだ。どうしてこんなに好きなんだろうな。で、「どうしてこんなに好きなんだろうな」と考えるような人には、きっと波長が合う音楽たちなんだと思うんだよな。
*1:MVは正直、歌詞に合っていないかなと思った……幸せを描いた内容ではなくて、もっと悲しくて切実な内容のほうが曲のテーマに寄り添っていたんじゃないかな。
★★★☆
2020年に散発的にリリースされた配信限定シングルをまとめた5曲入りep。
こうしてまとめて聴いてみると、結構がらっとこれまでのRADとは違うなと感じさせられる。サウンドスケールの大きさとか、これまでよりさらに内省的でちょっと妄想的な内容(歌詞も、アレンジも)とか。その断片は今まで色んな曲で見せていたけれど、こうしてまとまって出てくると、新境地感がある。illionともまた違う、ナイーヴな感じ。
ビューティフルメロディを堪能できるepとしては良かったけれど、2020年というほの暗い時代を、そしてバンドメンバーとろくに集まれなかった故のバンドの躍動感のなさを*1、やっぱり否応なく意識させられたかな。良くも悪くも、聴いていて寂しさがあるepでした。
★★★☆
エレファントカシマシの……というイメージは、もはやこの2年間で世間では吹っ飛んでしまったかもしれない、それくらい野心的に活動し続けた、宮本浩次の初ソロアルバム。
エレカシは聴くけど「全曲メインディッシュで食べづらい」エレカシは個人的にそんなに好きじゃなくて、だから、そんな「食べづらい」ミヤジも「えっ!?!?」なミヤジも、いろいろ全部入ってるこのアルバムは今までになさすぎてとても面白かった。
自由奔放、突き抜けて何でもやっちゃってるミヤジを聴いてるのはすんごく気持ちよくて、たとえ自分の好みじゃない曲が来たとしても、音楽的なワクワクがすぐにそれを上回る。楽しくて、解放されていて、何でもやってみたくてしょうがないアーティストのそんな初期衝動、そしてそれを高いレベルで着地させるベテランの地力に圧倒された。重ねて、そこまで自分のタイプの曲が入っているわけではないけれど、それを飛び越えちゃうくらいアルバムとして魅力的です。楽しい。
最初に聴いた時は笑っちゃうくらいビックリしたけれど、改めてこれはええ曲だわ〜〜〜って感じの「冬の花」。そして「夜明けのうた」の、この2曲の“わたし”うたは特に心に響いた。そういえばエレカシで一番好きな曲は「彼女は買い物の帰り道」なんですが(生涯聴いた曲の中でもトップ10くらいに好き)、そことも何か共通点を感じたりしました。こういう感性が根っこに内包されてるからミヤジってすごいね……。
話が逸れますが、ほんとに、ほんとに大好きなんです、この曲が。6年前のド鬱期に書いた僕の文章もよければどうぞ。「誰かを愛していれば」、ただそれだけでいいんだよね。「特定の」誰かである必要なんてなくて、「誰か(Someone)」を愛してさえいれば。この空に向かって、夕焼けの世界に向かって、明日を「誰か(Someone)」のために生きられますように、と、願えてさえいれば。