Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

はらだ『ワンルームエンジェル』

★★★★☆

泣いちまった! これはやられた。すごいラストシーンだ……。

どん詰まりで生きる意味を失っている男の元へ、「パァン」という音と共に降り立った天使の物語。二人のコミカルなやりとり、憎悪と不満と悪意の連鎖に満ち満ち溢れた現代社会を濃密に反映させたバックボーン、そして単行本1冊ピッタリでちゃんと終わる巧みなシナリオ……。少しづつ明らかになる真実も、平凡でありふれたメッセージにそれでも辿り着くまでの流れも、こなれてるくらいよく出来ています。

そしてラストだよ……これ映画館で見てたら号泣しちゃったろうな。勘のいい人にはネタバレになってしまうかもだけれど、この作品は「ボーイズラブ」のとあるルールを一つ破っていて、わ〜破ったのはすごいな〜と思ったら実は全然破らなかったという……は〜〜〜〜〜2020年も末になって*1すごいの読んでしまったな。これはうまいです。

*1:2020年12月30日執筆現在。

オジロマコト『君は放課後インソムニア』4〜5

★★★★☆

生きていくことは、ただ苦しくてつらいことが起きるだけなのに、それでも明日を迎えようと無理矢理にでも思わなきゃいけなくて、そのために未来へ持って行ける武器とは、「目の前のものに感動することができる」強い感受性そのものだと思う。

「目の前で起きていること」を見逃さずに、見落とさずに、こぼさないように、向き合って、向かい合って、シャッターを切ってゆくということ。……その1枚1枚があんまりにもマンガ的に映え映えなのもスゴい!けれど!でもそこはキャッチーだけど本質ではなくて。いや〜〜〜しっかり作られているなと思います。おすすめだぞ。

アサイ『木根さんの1人でキネマ』8

★★★★

ファーーーーー!!(明石家さんま)ってなる39本目をはじめ、相変わらずおバカなテンションでぶっち切る映画オタクのための漫画映画。たとえタランティーノの真似だったとしても、この人に映画を一本撮らせてみたい……(日本には意外とないよね、映画愛系の映画)。

コロナ禍を取り入れるマンガ、取り入れないマンガと二極化しつつある気がしますが、当然大きな影響を受けざるを得なかった『木根さん』については特別編で収録。しかし確かに、「特別編」の後に39本目があった方が絶対良かったな……そこは惜しい。

くずしろ『兄の嫁と暮らしています。』8

★★★★☆

素晴らしい。プロットにしたら1行で済んでしまう内容だけれど、それをここまで、ここまでも丁寧に追うなんて……! 雄弁に話しているようで実は何も話していない、モノローグも、ダイアローグも、すべてが生き生きと響くように磨きがかけられていて、圧倒されます。いやぁ……真似しなきゃ……。

高橋那津子『紅い実はじけた』2

★★★

人々の一瞬のきらめきを、力強いグラフィックと漫画的ロマンチズムにあふれた演出で描き出す短編集の第二巻。ただ、凄まじい作劇の『昴とスーさん』を先に読んでしまっていると、どうしてもストーリー面では物足りなさを感じてしまった。前巻にあった「カルトっぽさ」は薄まっていたので、自分の好みに合うという意味では今回の巻の方が良かった。