Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

『HELLO WORLD』

★★★★

途中までは本当に面白かった。

ちょっと遅れた夏休み映画として見に来たラブラブカップルたちや、「お、お、今回も『君の名は。』系やな?w」と腕組みながら観ているアニメオタクに平手打ちを食らわせる中盤の大どんでん返し。あえて既存の作品をめちゃめちゃ意識させる引用を入れながら巧妙に逸脱させていく作戦はなかなかイジワルで、主人公(でいいのだろうか……)が味わう絶望は実に甘い味がした。こういうのは大好き。ところがそこからさらに何重にも展開して、意外とありがちな感傷的ドラマにまで収束させてしまうのが惜しい。単純に、いろいろ盛り込みすぎだったと思う。映画において「大切な人」を二人も作るのはやっぱり難しいんじゃないかな……。それよりはワン・アイデアを貫き通して、最後の30秒のすげえ飛躍(これもアイデアが良かった)にまで一気に持っていったほうが気持ちのいい作劇になったのではと感じた。

あまり予備知識がなかったので、映画が始まってからようやくこれが3DCG映画だということに気がついた(レベル高い!)。これがシナリオのテーマや雰囲気にも合致しているのがけっこうポイントで、いい意味で「ひんやりした」演出はこの映画の個性というか、物語にもよく合ったオリジナリティになっていたのがとても良かった。最後のあたりで気持ちが冷めるのはアレだけれど、かなりユニークでいい映画。このひんやりした感じが伊藤監督の作風なのだとしたら次回作も楽しみです。

作中でたっぷり使っている割には、あんまり京都のことを魅力的に感じなかった珍しいご当地アニメだったナ。