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音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

瑛人「香水」「HIPHOPは歌えない」

★★★★

今さら触れるのもどうかな、と思うのですが、いいよね、瑛人。

あまたのカバー音源の流通や、アーティスト名の雰囲気や、<君のドルチェ&ガッバーナのその香水のせいだよ>というリリックの一人歩きで少々「イマっぽい」消費のされ方をしているがゆえに、うっかり勘違いしてしまいそうになるけれど、実際「香水」はとても素朴な弾き語りフォーク・ナンバーだ。たとえばwacciとの違いはどこなの、と言われると自分もちょっと混乱するけれど、やっぱシンプルなんですよね。すっごくシンプル。グッドメロディ、そしてグッド歌声。どんどんベッドルームで色んな加工ができるようになった現在の音楽に、逆に強度をもって立ち上がってくる、強烈な素朴さ。一見オシャレだけど、それはMVのおかげなだけで、実はまるで焼き芋みたいな音楽性(まあ、「オシャレな焼き芋」ではあると思うけれど)。

「香水」だけだとちょっとわかりづらいけれど、シングル曲「HIPHOPは歌えない」も聴くと、しっかり根元にあるのがフォークの文脈であることもわかる。だけれど音は穏やかで、さながら夜の湘南のような爽やかさ、と、さびしさ。めっちゃ狭いライブハウスで、椅子に座りながら聴きたい感じ。ゆっくり首が横に揺れてくる。ほんとに気持ちいい……。

これだけ「何の手垢もついていない」ように思える音楽が、ヒゲダンとかを(嫌いではないよ!)ぶち破ってSpotifyで1位になるなんて、間違いなく“希望だ”。歌詞がまだあまりにも素朴すぎるし、曲を描き始めてからおそらく年数も浅いはずなのですが、間違いなくこれから、ここから「もっと」すごい曲を書けるようになるシンガー・ソング・ライターだと思います。23~4歳で「中華料理」を書いてた山崎まさよしとか、こんな感じだったのかなぁ。