Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

峰浪りょう『少年のアビス』1

★★★★☆

『ヒメゴト』、『初恋ゾンビ』の峰浪りょう最新作。またしても移籍して今度はヤンジャン。満をじして……というこちらの期待感をさらに何倍も上回る、すさまじい第一巻になっている。

暴力を振るう兄、認知症を患う祖母を女手ひとつで介護する母、そして食い物にされている地元の同級生からがんじがらめにされ、地方都市で静かに沈没している主人公。情死の舞台となったらしい川を橋の上から眺めながら、小さな希死念慮を浮かばせる彼が出会ったのはーー。

<僕の死(いのち)が 始まる>という強烈なフレーズに痺れる。そうだ、いのちとは「死が始まる」ということなのだ。繊細な心理描写、チラッと見え隠れするユーモア、そして静かな展開とギャップをみせる、読む者を掴んで離さない驚きのストーリー展開の連続。『初恋ゾンビ』だけ読んでた方には違和感があるかもしれないけれど、ああ、本当はこんなのをやりたかったんだな、と思わせる生き生きとした物語の躍動、シックだけど情熱的なテーマ、そして映画的ドラマチックさには胸がギュッと締め付けられる。ただただ素晴らしい! 2020年最大注目作の一つだと思う。いや、そうなってほしい。ここからどこまで沈み、そしてどこまで昇って行くのか……否応なく昂ってしまう第一巻です。今のうちに、読んでおきましょう!

さあ京アニ、次は、これだぞ。