Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

Cuvie『絢爛たるグランドセーヌ』14〜15

★★★★

演じる喜び、跳躍する快感、そして「若き天才」とシンクロできる読書体験。"運動"が自己表現かつ自己実現にもなっている、って、自分は学校で教わらなかったことだな。なんだか悔しいな。

自由に身体が動く、火照った肉体で踊り上げる……なんて、読者が味わえる「架空の快感」が素晴らしい作品です。舞台をイギリスに移しての新章突入にもワクワクワク。もっとウケていいマンガだと思うけどなぁ。

……が、最後の最後のあとがきで、やはり残酷すぎる時代に引き戻された。「現実の奏」は今ごろ、イギリスからの帰国を余儀なくされ、コンクールを奪われ、大好きなレッスンすら受けられないまま、過ぎていく身体のピークタイムを今も失い続けているはずなのだ。刊行当時の2020年4月から、状況はますます不可逆的に悪化するばかり。こういう国際色豊かなバレエスクールは、2019年が人類史上最後の景色になるのかもしれないね。