★★★★☆
いいアルバム。
ご機嫌なロックンロールはとうとう1曲も無くなり（かろうじて「みたいなこと」か）、歌詞の内容も相まって、ただただ暗く鬱が延々と描かれるような内容になった。が、ずば抜けて素晴らしいのがサウンドで、こういう「鬱」の気持ちにこそなぜか心地良く響くような、さみしい、かなしい、いろいろ諦め尽くした“希望”のない音が、まるで水の中に潜っているときの、ごごご、こぽこぽこぽ、のそれのようで。
素晴らしいメロディに言葉のセンス、ハーモニーが、こういう「胎児のお腹の中」みたいな、「プールの底で丸まっている」ような、誰もいなくなった放課後の教室のような、そんな落ち着いた世界をアルバムの最初から最後まで展開させて、その「音楽」に最後まで心地良くひたることができた。
1曲目で「目覚め」て、2曲目と朝の景色から始まって、次第に「君」の姿が見えてきて、クリスマスが終わって、春になって、少しだけ「さよなら」ができて、そしてまた夜を迎えてただ眠る、という曲順もストーリーがあって素晴らしい。あんまり多くの人が楽しむものではないかもしれないけれど、好きな人はひたすら好きになる“暗い”アルバムだと思います。おすすめです。
