Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

BBHF『BBHF1 -南下する青年-』

★★★★★

ファーストアルバム、改名後の2枚のEP、いずれも見事な内容だったBBHFが満をじして放つCD2枚組、全17曲入りのオリジナルアルバム。北から南へと旅をする青年を主人公にしたコンセプト・アルバムになっている。

……という話だったけれど、旅をしている青年というのはあくまで観念的な話で、いうほどしっかりストーリーがあるわけではない。しかしこの統一性、サウンド、歌詞のテーマ、そして何より聞いているときの感覚はまぎれもなくロックオペラで、シャッフル再生の時代にこんな化け物のようなアルバムが登場してきた事実に、もうそれだけで打ち震えてしまう。すごいな。

『Mirror Mirror』『Family』もそうだったけれど、継続させてゆく「愛」の幸福と困難を歌った詩に、ひたすらハイセンスで静謐で、けれど肉体的で躍動感もある、そんな唯一無二のバンドサウンドが奏でられる。じっくりヘッドフォンで息を止めながら向き合っても、皿を洗ったり洗濯物をたたんだりコーヒーを飲みながらのBGMでも、そのどちらでも楽しめるような強度は特に今作で顕著に感じられて、もうそこがただただすごいなと思った。で、その事実が、このアルバムで描いているような「日々の困難と祝福」ともぴったり合致しているのだ。具体的にシナリオがあるわけではないけれど、まるで一本の映画のよう。ナラティブをとても意識したアルバムだなと思った。

名曲「Work」、そして2枚のEP。「ならば、いつかこういうアルバムを出してくれるんじゃないか」という期待に、とうとう応えたような傑作。間違いなく2020年を代表する一枚だと思います。公式サイトで歌詞が全部読めるので(素晴らしい!)、いますぐストリーミングからチェックして欲しい!

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