Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

宝井理人『テンカウント』1〜3

★★★☆

『セブンデイズ』の宝井理人による人気作ーーと聞いて読んでるものの「作風結構違うんだなぁ」と思ったら『セブンデイズ』は原作・作画で分かれててこの作者さんは作画側だった……。『名探偵モンク』を彷彿とさせる潔癖性の主人公が、心療内科のカウンセラーと共に障害を克服していくというストーリー。

ここで描かれる「暴露反応妨害法」というのがすごく上手い設定で、「1はガマンできる、10は絶対無理」なものとして1から10まで自分の嫌なことを手帳に書いて並べる、それを2人で上から順にクリアしていく、という“ゴール設定”が絶妙にこの先の物語への期待をあおる。しかも主人公は10を空白にしてしまう……ニヤッとするくらい上手いです。というあたり、この順番をもうちょっと引っ張って欲しかったなという気持ちもある(BLなのでセックス描写があるのですがさすがに話的に早すぎる)のですが、先生と患者、という関係があいまいになっていく様子も丁寧だった。着地も楽しみ。

2020年にアニメ化される予定だったようなのですが、今は公式Twitterも止まって完全に塩漬け状態のよう*1。もしやっていれば、いや、だからこそできていないのかもしれないけれど、ロコツにコロナ禍を彷彿とさせてしまうのが悪い偶然すぎるというか、タイミングが良すぎてちょっと笑ってしまった。ソーシャルディスタンスから濃厚接触へと突っ走ってゆく無邪気な作品です。

*1:2020年9月14日執筆時点