★★★★
ボカロＰ「ナノウ」としてキャリアをスタートさせたコヤマヒデカズが率いるロックバンド、CIVILIANの1stアルバム。
正直、これまで生涯に聴いてきた数多のロキノン系バンドが次々頭をよぎってゆくことは否定できない……けれど（2017年リリースのアルバムだけど、2007年でも通用しそう）、ちゃんとバンドサウンドがかっこいいし、生きてゆく強烈な劣等感、“Why I'm Here?”を問いかける歌詞はパワフルで、鋭さがあった。
始まりを告げる「一般生命論」はアルバムのリードナンバーとして十分すぎるぐらいインパクトがあるし、＜とりあえずドラム4つ打ちにして ノリで受けそうな感じにしました＞だなんて歌詞書いといてちゃんと４つ打ちでかっこいい「どうでもいい歌」も素晴らしい。ボカロＰ時代の曲として知られる「ハロ/ハワユ」は時を越えてしっかりアルバムの中核に収まり、シングル曲「生者ノ行進」のシンガロングも地底から天井ごと吹っ飛ばしてくれるような希望がある。
見下ろせば身体はやっぱり傷だらけだけど、傷だらけだなぁ、と再確認することは実は豊かな行為で。あとは自分の言葉で、傷だらけ「だけど――」の先を探さないと、ね。
