Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

クラムボン「tiny pride」

たまには、思い出話もしたい。僕がはじめてクラムボンにちゃんと「出会った」のは、この曲だった。

そのころ、スペースシャワーTVで月に1回やってる「無料開放デー」の、トップ50チャートを録画して何か面白い曲を探すのが自分の楽しみだった。そこで、たまたま、当時新曲として流れていたこのMVに出会ったのだ。クラムボン、ってバンドの名前くらいは聴いた事があったかもしれないけれど、まだ1曲も、実際にはよく知らない状態。そこでいきなり、このビデオに釘付けになった。作り物じゃない、本物の吹雪の雪原、そこにぽつんといる3人のバンドメンバー。静かなアコギのイントロ。そして甘い声質なのに、かすれて、今にも消えてしまいそうな儚いヴォーカルが、忘れられない歌詞の一行目を歌い出した。<どうにかここまで 君と歩いてきたね>――。そこからカットを割らず、1番・約2分間をまるまるワンショットで映し出す。ようやくカメラが近づき、各楽器がよく聴こえる、静謐でやわらかで、なのに切実で過酷な音像を奏でる、メンバーの表情が映し出されてゆく。音楽は盛り上がり、歌われている二人の物語は、さらに熱を帯びて胸に迫ってくる。そして、Cメロを挟んでからの、思わず息すら止めてしまいそうになるブレイク!!(このMVでいう4分33秒目!!)

もう、前のめりで夢中になった記憶がある。<また明日僕らは出会い/同じ過ちをまた繰り返して/消えることない不安を抱える/でもそれこそプライド>。凍てつくような雪山で、吹雪が晴れて空が青々とふたりのことを焼き尽くそうとしても、また何度でも繰り返される<tiny pride...>。さらに、さらにぶったまげるのがまだこの後だ……もう、これを初見でテレビで見たときの驚きは、途轍もなかった。すさまじいMV、すさまじい曲だと思った。すぐにiTunesで曲も購入して、バンドのことも調べ始めた記憶がある。僕にとってさらに幸福だったのは、この曲が収録されたアルバム『2010』が、またとんでもない大名盤だったことだ。