★★★★
昔からずーーーっと、機会を作ってちゃんと読んでみたかった作家が谷川史子だった。ごく初期の作品集だけれど、現在に至るまで重版されている代表作のひとつみたい。
まさに王道の、「昔ながらの」*1少女マンガといった趣。ちょっぴり設定はモリモリ気味だけれど、描かれるのはあくまで若い子たちの素朴な心と心の結び合い。表題作「きみのことすきなんだ」は、シノプシスにまとめたら単純だししょーもないシーンもいっぱいあるんですが、読んでいてとにかく気持ちがよくて、暖かな想いが途中からでも次々湧き上がってくる快作。冒頭の組み立て方とかも含めて、本当に物語作りの「お手本」のよう。“ここ”さえ大事にすれば、きみのお話って愛おしくなるんだぜ、と、飄々と教えてもらえているようにすら錯覚した。これが商業デビュー作だなんて信じられない……！
*1:といっても実際、30年前の作品なので「昔」なのですが。
