Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

OAU『OAU』

★★★☆

OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDが改名し初のアルバム。今年はBBHFとか、地味にバンドの改名が続いたような。検索最適化とかが理由なんだろうな。バンプも近くBOCに改名する…?

昔から大好きなアイリッシュ・グッド・サウンドを今作でも楽しめる。ミックスがどんどん良くなっていて、他に一緒に聴いているバンドの曲とシャッフル再生してても馴染むのが嬉しい。ただ同時に、ずっとどこか、たっぷりとは好きになれないとも思っていて、今作を聴いてようやくその理由にも気がつけた。歌詞がイマイチなんだな……! こういう抽象的なものもだめではないけれど、もう少しふわりと景色や想像が広がるような、聴き手に距離を近づけた書き方になっていれば、少なくとも自分はより楽しんで聴けるんだろうな。ああ、つっかえが取れてすっきり……。

とはいえ英詞も含めて注目曲の多い今作。これからOAUを聴きたいならこの1枚がおすすめです。

THE CHERRY COKE$『OLDFOX』

★★★★☆

「国内No.1アイリッシュ・パンク・バンド」って書かれてるけど、それは単に他の競争相手が日本にいないのであって……。

ボーッとしている間にオリジナル・アルバム1枚飛ばしちゃったんだけど、最新作『OLDFOX』は『THE CHERRY COKE$』をさらに磨き上げた超完成度&満足度の高い1枚だった。ポップで郷愁に満ちたアイリッシュサウンドをたっぷり味わえるだけでなく、これまでのアルバムに比べて、さらに「すこし大人」な、より広い目線でやさしく歌うナンバーが多かったのが良かったんだと思う。もちろん、すぐにタイアップ切れそうなキラー・パンク・チューンも複数入っているし、加えて今回は6分越えのバラードに挑戦していたり、セカオワ的なシネマティック・サウンドの曲も入っていたり……結成20周年らしいのですが、王道から原点回帰、そして挑戦まで全てがうまくいった状態で収められている、限りなくキャリア・ハイに近い内容だと思う。初めてTHE CHERRY COKE$を聴くなら絶対にこのアルバムからだろう。それくらい見事に仕上がっている1枚だった。さらに言えば、聴いた時の自分のコンディションがあまり良くなかったのにあっちゅう間にこれで元気になれたので、ありがとう!!

和楽器バンドと化してるコテコテのニューMVにはちょっと笑ったけど。徳間ジャパン的にはそう売りたいのネ。ライブ行きたいな……でも生でこのテンションはもうついていけないかも……。

yonige『HOUSE』

★★★★☆

「みたいなこと」をラジオで聴いて以来、自分の中で急浮上したyonige。現時点では*1これが最新のミニアルバム。

すーーーーーーっげーーーーー良かったんだけど!?!?!? クソかっこいいヴォーカルと、クソかっこいいサウンドと、クソかっこいい言葉選びと、意外と泣き虫な歌詞のギャップがたまらなかった。そして描かれている景色の、このやさしい空気感は何なんだ……どうでもいい日曜日の、あるいは仕事サボっちゃった平日の午後の、手すりの錆びたベランダから洗濯物越しに見上げる春の空みたいな……。こういうロックバンドっていたんだ。うわー、特別なやつだ。すごいや。

とてもドライで、けだるげで、何だか眠そうで……だけど多分、ものすごく感受性が高いんだろうな、と思わせる繊細さが共存する唄たち。無骨で柔らかなギターの音色と、ブリブリ鳴るベースのカラーの違いも楽しい。これは好きになっちゃう……最高。もっと売れてもいい気がするな(知り合いにも好きな人が多そう)。ラストの曲だけちょっと雰囲気が違ったけれど、クレジット読んだら作詞が別の方のCMソングらしいです。

*1:2019年12月16日執筆時点。

RADWIMPS『天気の子 complete version』

★★★★

大大大前提として、『天気の子』用の書き下ろし4曲は、曲単体の強度でいえば『君の名は。』の4曲を決して上回ってはいない。しかしそれは、『君の名は。』の時の4曲があまりにも凄すぎたと言ったほうが正しい。00年代~10年代日本ロックの歴史をたった2分半に凝縮した「夢灯籠」、文句無しでラッドのナンバーワンリードソング「前前前世」、そして野田洋次郎の最高傑作バラード「なんでもないや」は、一方で映画『君の名は。』の内容にしっかり寄り添ったサウンドトラックだったかというと、意外とそうでもなかったように思える。その意味で今回の4曲は、単体での“名曲”さではやや前作に敵わないものの、映画『天気の子』のサントラとしては『君の名は。』の時の10倍くらいシンクロ率が高くて、とにかく、そこが良かった。

三浦透子の起用は『天気の子』のさらに前に進んだイメージを見事に音楽面から補強した。あの二人のドラマを「グランドエスケープ」という一言にまとめたセンスも鳥肌が立つほどに素晴らしいし、<夢に僕らで帆を張って>の部分のふわり舞い上がるようなコーラスはクレイジーなくらいにビビットで思わず幽体離脱しそうになる。これから10年間の音楽はきっとこの役割を背負うことになるんだろう、というフレーズを何度も何度もくりかえす、そのものずばり「大丈夫」もドラマチックで力強い一曲。そして『天気の子』が最後に提示した巨大すぎる問いかけに、ひとりの表現者としてアンサーを出した「愛にできることはまだあるかい」は、まさに理想的なエンディング・ソングだろう。

もはや「前前前世」を聴いても『君の名は。』のあの場面を思い出す人はあんまりいないと思うけれど、「大丈夫」を聴けばきっと何度でも、わたしたちは『天気の子』のあのクライマックスを描き出せるだろう。前作とは全く違う役割を持っている意味で、今作もばつぐんの書き下ろし曲たちだった。

ただ、「大丈夫」のmovie ver.で<君にとっての「大丈夫になりたい」>って絶叫するラストにすっげー感動してただけに、今回の完成版で「えっ…そっか…」ってなったヒトは、たぶん、僕だけじゃない。そこも野田洋次郎のキュートさだろ? といえば、そうなんですけどね。

ハンバート ハンバート『WORK』

★★★★

あんまり見た目からは判らないのですが、ライブアルバム。バラード中心に選曲がなされている。(ただし以下の「小さな声」のみスタジオ録音の書き下ろし新曲)

ほとんどスタジオ・レコーディングと言っちゃっていいくらい完成度の高い、静謐で緊張感あるパフォーマンスを楽しめる。ハンバートのバラードって結構マジで悲しい曲ばっかりなので、ちゃんと歌詞を読みながら聴くと、ただただしんしんとさびしい気持ちになれて、とても豊かな音楽体験を得られた。

それにしても、ハンバート ハンバートはアート・ディレクションが毎回めちゃめちゃいい。こういうテーマのアルバムで、サトウサンペイの、しかもこういう部分を切り取ってくるセンスよ!!

BURNOUT SYNDROMES『明星』

★★★★

歌詞カードがすごい!! 事前知識がなかったのでびっくりした。これこそストリーミング時代に立ち向かう見事な挑戦!!

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コンセプトアルバムになっていて(「あゝ」だけ浮いてたけれど)、オープニングとエンディングに挟まれる楽曲は「星の王子さまが君にプレゼントするために書いた応援歌だ」というテイで展開される、BUMP OF CHICKENの『THE LIVING DEAD』と同じ構成。しかし『明星』はそこにもう一捻りあって、クライマックスにどんでん返しが訪れるという内容になっている(たった1曲に7ページも費やす歌詞カードなんて初めて読んだよ…!)。元々は大橋パイセンが始めたバーンアウトの「タイポグラフィ」推しだけど、「どう読むねん!?」と思いつつ実はちゃんと読めるぶっ飛んだ歌詞カードのデザインや、アルバムと共に展開していく二人の小さな物語はサプライズもあってものすごい見事(イラストも可愛らしい)。こういう音楽体験をバンプウラニーノ以外で味わうのは久しぶりだった。キャリア初期ならともかく、デビューしてまぁまぁ経ってきたバンドから突然飛び出したフルアルバムなのでその点でも嬉しい驚き。そしてバンドにめちゃめちゃ合っている。こういう方向に今後もどんどん攻めてほしいと思った。

一方、収録曲自体は逆にそのコンセプトに引っ張られすぎたというか、「SPEECH」や「MASAMUNE」、「我が家はルーブル」みたいな“世界各国ネタ”の歌詞はやや浮き足立っていて、物語のあるロックンロールソングとしてはあまり高揚や感動がなかった。もう少しそこはプリミティブな所にまで立ち返っても良いのかもしれない。