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最近感じる、「神さまに選ばれたマンガ2作品」のうちのひとつ。最初は一種のフェチマンガを描くつもりだったはずだろうに……いつのまにか、これまでのどの作品でもなかなか描き切れなかった仕草や情景・心の動きや一瞬のきらめきすらも「フェチ」の一つとして取り入れることに成功して、気づけば普遍的な一級の青春ドラマにまで昇華させていったあまりにも見事な作品。最終巻も、あくまで静かに、しかし確かに一つ一つ育て終えた稲を丁寧に刈り取っていって、最後には次の春の景色すらも暖かく描き出してみせていた。紛れもなく『富士山さんは思春期』から続いたオジロマコトの最高境地。傑作です。