Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

不可思議/wonderboy「この海の向こうに」

★★★★☆

2011年に23歳で早逝したポエトリー・ラッパー、不可思議/wonderboyの未発表曲。自分がラップにフックを作れたきっかけの方だったし、自主のCD-Rとかも持っていたので、亡くなられた途端に持ち上げられたのがすっげー嫌でドキュメンタリー映画とかも一切無視してたんだけれど、それゆえに(自分が持ってたCD-Rと同じ名前を冠した)未発表音源集がリリースされていたことをつい最近まで知らなかった。「この海の向こうに」は、その中の1曲。

ジャケットにもこの曲だけ歌詞が記載されていないのですが、なるほど、そういうことかとわかる政治的な一曲。おそらくは(2010年冬当時の)尖閣諸島の漁船衝突事件をモチーフにした内容で、<俺たちと見た目がとても似ている>国とのあいだにある<小さな島>について、子どもとお父さんが語り合う内容になっている。しかし物語は一転し――。

「STOP THE WAR」。ロックンローラーは言いました。「支えてくれた家族に感謝」。ラッパーが言いました。「もっと思想を持つべきだ!」。詩人が言いました。「もう二度とこんなことが起こらないようにしましょう」。先生が言いました。「戦争とかマジヤバくね〜ぇ?」。女子高生が言いました。

 「このままではいけない」、「もっと思想を持つべきだ」という悲鳴にも似た叫びは、2020年を生きるアーティストにも跳ね返ってくるような、強烈なフレーズ。ついこの間、彼が書いたような言葉にも思えて、とても不思議な気持ちになりました。音楽は永遠に生きている。