Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

鈴木小波『ダンジョン&デリバリー』

★★☆

感想としてここに書こうか迷ったくらいなんですが、いやでも……鈴木小波の新作だし……。

「ダンジョンの中へグルメな食べ物を運ぶ」「戦う相手はモンスターだけど武器のメインは剣で全体的に敵も和風っぽい」「ネタ元自体はウーバーイーツ」「動画配信者が出てきたりする」……という、何というか実名は出しませんが広告代理店が書いた企画書みたいな内容なのはまだいいとして、なんか単純にマンガとして読みづらかったな。専門知識がないのでこの違和感を言い表しづらい……うーもどかしい。少年誌のマンガは全体的に苦手*1なのですが、そこだけを煮詰めてしまった感じだったな。

これ以外にも、ジャンプで読み切りを掲載なさったり……ホクサイを辞めてでもやりたかったのがこういうものなのかもなぁ……ってちょっとべそをかきたくなってしまうけれど、でも、やりたいことならば、やるべきなのだ。合わなくなるのは(言うまでも無く)作者の責任じゃなくて僕のほうですからネ。

*1:例外はもちろんいくつもあります

白樺鹿夜・江本マシメサ『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』1

★★★★

退役軍人の妻が北欧(おそらくはフィンランド)の雪深い小領に嫁いでくるという物語。

「仮」の夫婦となるリツとジークがどっちもいい! 互いに敬意を払っているのがとても素敵。ざっくりした絵柄だけどポイントを抑えた作画も特徴で、かなりディティール的にしっかりした民族衣装・文化・暮らしぶり・食事・そして狩猟が描かれるのもユニーク。確かに「そこだけ」切り抜けばスローライフだ……。

明言こそされていませんがジェンダーが一つのテーマにもなっていて、そこも読んでいてほっとするような内容。こんな田舎の話を読んでいるとジェンダーロールってどこで作られるのか考え始めてしまう……。今のところ二人の間に障害がほとんどないように感じられるけど、そこはどうなるのかな。タイトルだけちょっと損してる気がするな〜。

犬上すくね『想うということ』

★★★★☆

めちゃくちゃいい!! オールドファッションな少女マンガ短編集ですが(実際、2003年の単行本を新装版にしたものらしい)、隙間を意識したスッキリした画面、可愛らしい絵柄はもちろん、よわいものがあるとき「気がつく」、その瞬間の飛躍や舞い上がるような気持ちを丁寧に、しっかり、そしてあたたかく描かれていて、とても素敵だった。

最後に主人公がひっくり返るギミックがせつない「おくびにもだせない」、二人の掛け合いが楽しい「君のためにできないこと」、そして僕はこういうのがツボでツボでしょうがない「Love experience」、当時は異色作だったんでしょうが今読むとむしろナウな感じがする「1/2のミッドサマー」(これ、うまくリメイクすると2021年のヒットになる気がする!)、そしてベタだけど静かな感動がジンジンやさしい「空も飛べるはず」は見事なクライマックスだった。この作者さん、好きだ! うわ〜〜〜嬉しい出会いだ〜〜〜!

峰浪りょう『少年のアビス』3

★★★★☆

おもしろ!!!!!! そう来たか! という展開に思わずニヤリ。サスペンスであると同時に、そしてこれは過去作『ヒメゴト』も『初恋ゾンビ』もそうだったけれど、上質なミステリーでもあるのだ。それ以外の部分も十分魅力的でまだまだ語り足りない箇所はあるのですが、どんでん返し――と言ってよいラストの流れにはアドレナリンがドバドバ出ました。続きが楽しみすぎる……!

沙村広明『波よ聞いてくれ』8

★★★☆

北海道地震編、作品自体のクライマックスになるのかと思いきやあっさり終わってしまった。でも最後までしっかりエキサイティングで、諸々の人物模様が最後にはほどけていくのも、そして災害報道というテーマにがっつり挑み取り組んでいたのもとても良かった。「こんなラジオ番組があったらな」ですね。語り継いでいかなきゃ。<欲望を醸して生きていこう>。