Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

桜井のりお『僕の心のヤバイやつ』4

★★★☆

猛烈なスピードで仲が深くなっていく二人。恋に無邪気で、実はあんまり深く考えても悩んでもいない(ように思える)山田に対して、ものすごく真摯に真剣に向き合い続ける市川が印象的な第4巻。なんか二人のそういう所がアンバランスすぎて今後うまくいかなくなるんじゃないか的なことも考えなくもない……けどな……。

小坂俊史『平日休みの堀出さん』

★★★★

共働きでなかなか休日の合わない夫婦が、ときたま訪れる「平日休み」を「全力」で遊び尽くす、という小坂俊史の最新作。

「遠い街のショッピングモールをひたすら回る」「山奥で二人ロックフェス開催」「24時間カラオケ」「ティッシュ配りバイト」などなどのアホ企画(「2日間で稚内石垣島制覇」という半ルポみたいな回もあるけど)を全力で楽しもうとする二人のギャグは勿論楽しいし、そんな浮き足立った日常離れのネタをいちいち現実に引き戻す、身も蓋もない話が随所にスッ、スッ、と挟まってくるのがすごく面白い。「まぁ……現実はそうだよね」みたいな、急に頭をリセットするような内容が髄所でばんばか入ってくるのです。もちろんそれ自体もボケになっているんだけれど、「ああ、今この世界とこの物語は繋がっているんだな」と思わせてくれる、そんな“不思議なやさしさ”が作品の空気を包み込んでいて。ほんのりハートウォーミングなところが妙に愛らしいヘンな一冊です。で、やっぱり、そこが好きなんだよな、ずっと。/ところで小坂俊史、なんか、絵がちょっと色っぽくなってきてない……?

志村貴子『おとなになっても』4

★★★★

ふわふわ、ゆらゆら、宙ぶらりんの思考が、それでも日々をゆっくりと進めてゆく。ジャンルや、物語の定形にとらわれていない、本当に「志村貴子」としか表現できないこの感じ。ああ、大好き。/たまたまこの記事を執筆しているところで、東京地裁が同性同士の不倫を「不貞行為」と認定したというニュースが飛び込んできた*1*2。意外にも、これって異例の判例らしい。志村貴子を読んでいると現実を忘れそうになるな……。

*1:https://news.yahoo.co.jp/pickup/6387889

*2:2021年3月16日執筆現在

奥山ケニチ『ワンナイト・モーニング』4

★★★☆

引き続き、ほぼワン・シチュエーションのみで展開する素朴な作品集。バッティングセンター回みたいな変化球がもう少し読みたかったような気もした。夏祭り回はなぜか女性側に感情移入して読んでしまったな……。

吉本浩二『定額制夫のこづかい万歳〜月額2万千円の金欠ライフ〜』2

★★★★☆

「こづかいも残ってるよ!今日は服を買いに行くぞ〜!」「オー!」って回の2ページ目でユニクロしまむらも通り過ぎるコマからいきなり面白すぎる。ほんと面白すぎる……。待望の収録となったステーション・バー怪人なんて狂気の入り口に過ぎないんだよ。遂に「0円」怪人まで登場する絶絶絶好調の第2巻。ある意味、今いちばん面白いマンガはコレだろ! 第3巻の予告もアオリから面白すぎた…「人間vs.イオン!」/日々を生きること、生活することの「楽しさ」を全力で追求する登場人物たちからは、まぎれもなくポジティブなメッセージがきこえてくる。さあ、カネがないないってしょげてないでさ、「うちで遊ぼう」。

山口つばさ『ブルーピリオド』9

★★★★

いわゆる「職業モノ」的な美術教育の要素が、しっかり登場人物の葛藤に接続されているし、ルポルタージュ的な一面も、ストーリーの骨組みにがっちり組み込まれていて、その構成の妙も読んでいて心強さすら感じる第9巻。相変わらず面白いです。/猫屋敷あも教授、なんか僕の出身大学の同じ学科のセンパイとダブる気がするけど気のせいだよな……? もしかして今はアイドル辞めて本屋さんやってたりしない……?