★★★☆
ぶっくぶくに膨らんだ自意識と自己顕示欲に突き動かされる主人公=まりもと、さまざまな形でホモソーシャルにとらわれた女性たちを描いた「教室の片隅」のお話。実はあとがきを読んで印象がかなり変わってしまった部分があって……。そうか、人間としてのまりもを描きたかったというよりは、記憶の中だけで今も生きているまりもみたいな人=「遠くにいってしまった人」への想像と(なにかしらの)後悔の物語だったのかもと。だからオムニバスの体裁で、まりもだけはほとんど成長が描かれないのかな。自分も人生のどこかでまりもと出会っていたならば、また読後感が変わったのかもしれない。僕はまりもの「時が止まっている」ところがちょっと悲しかったな。第5話は二人のやりとりがハイコンテクストすぎて痺れました。