★★★★☆
「パワーポップ復活」って銘打たれた割にはメロウな曲が多かった印象だけど、今アジカンが「狙っている」、「表現したい」と思っている世界観やメッセージが眩しいくらい伝わってくる快作。1曲目「クロックワーク」の切なさ爆発から「ホームタウン」までの流れは特に完璧。全体的にシティポップな感じ……というか、ちょっとオシャレンティな歌詞の世界を狙いつつも、そこにいま生きる若者たちへ（ある意味）泥臭いメッセージを残し、励まし、明日生きる勇気を一緒に探そうとする「UCLA」や「ボーイズ＆ガールズ」は、僕に向けられた音楽じゃないなと思うのに、こんなにも切実に胸まで伝わってくる。泣きそうなくらい力強い物語があった。このアジカンの「物語」感は遠く『マジックディスク』くらいまで遡れるというか、たぶんこのアルバムはそれ以来の傑作だと思う。全体的にサウンドの立体感が素晴らしくて、既発のはずの「荒野を歩け」がめちゃめちゃ印象変わってて笑った。
