★★★★
う～～～～ん。最後の最後に、二人が何か大きな一歩を踏み出すのかなと思っていたけれど、ほとんど全く変化なしで終わってしまった……。でもこれが作者のやりたかったことなんだろう。そうなんだろうけど……。聡子があそこまで「家族が怖い、恋が怖い」と話すそのわけがいまいちよくわからなくて、いや、感情自体はわかるんだけど、そこの成長・変化を描いてこそ（克服でなくとも、何かの形にはまるとかでなくとも、全然よくて）の物語ではないか。『瞳に映る私が好き』は一巻の段階で終わっている話だから、ここまで描き続けた責任とか覚悟を示してほしかったなと感じた。
何人も過去の自分自身が重なってゆく描写は、マンガというよりは映画的な演出で、クライマックスに従って表現がどんどんストイックになっていくのは読んでいてとても気持ちが良かった。シリーズ全体を通しても、シネマティックなドラマチックさはこの作品の大きな美点だったと思う。次回作もこういうアプローチを期待したいです。星の数はシリーズトータルで楽しませていただけたことも込みで。
