Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

山口つばさ『ブルーピリオド』8

★★★☆

アイドルとかを全然いいと感じたことがなく、「頑張ってる人を見てると勇気がもらえる」というのもよくわからないけど、確かに八虎くんは応援したくなるな……。

講評会のトラウマ(「評価しなくていいよね?」とほぼ同じ経験をしたことがある)や、考えすぎてどんどん狭くなってゆくことや、一瞬答えを閃いた気がしてもまたすぐに見えなくなったりとか、「積み重ね」を見ている人だけちょっと評価してくれたりとか、あんなに悩んで完成させたのにカタルシスもクソもなく、一瞬で次に進んでゆくこととか――ありふれた、とてもありふれた芸術家たちの日常が、しんしんと描かれています。好きだなぁ。

ただ今巻については、その後の藝祭編も、写生旅行編も、そこまで魅力的ではなかった。どちらもまだ話は終わっていないので、ここからどんな部分に創作と結びつけてゆくのか、だろうけれど。

 

高橋那津子『昴とスーさん』4

★★★★☆

スーさんをつなぎ止めるもの――が、あまりにもあいまいで、だからこそ一つ一つの、一歩一歩の日常が、はかなく、せつなく、まぶしいものとして描かれてゆく。次のページではすべてが壊れているかもしれない、その「まぶしさ」に、ひたすらハートを焼かれてしまいます。ブレイクして欲しいな〜。

Cuvie『絢爛たるグランドセーヌ』16

★★★★☆

うおおおぉぉぉまさかのアイリッシュ・ダンスも登場!! 抑圧の歴史が身体表現の、そして文化という闘いの歴史とつながっている。それから比べたら枕草子なんて……って思っちゃうけれど、きっと血と闘いに塗れたヨーロッパの人たちには全く違う感銘を与えることができるんだろうな。大きな大きな人間の歴史を、そして大地の歴史を、その足で踏み鳴らしながら少女少年たちはまた成長してゆく。

創作ダンスの話も始まって(これも良い鉱脈やぞ!)、ますます目が離せない16巻。そして物語の舞台は2018年。きっと十数巻も先のことだろうけれど、彼女たちのこの生活が無残に破綻するまで、あと1年半。

紀伊カンナ『春風のエトランゼ』2

★★★★☆

ええ……めっちゃいいじゃん……。小さくてにぎやかな生活の中で、それぞれが抱いているものに触れながら、互いに気遣いながら、生きてゆく歩みをゆっくりと進めてゆく。

ゲイの葛藤にこんなに真っ直ぐ向き合った作品って意外と読んだことがなかったかもしれない(特にBLでは)。実央の空白の3年間が垣間見えるシーンには、なんかよくわからない気持ちで胸がギュッとなっちゃった。8歳の男の子のエピソードは、実写だとたぶんコンプライアンス的に無理なので、ならではですね。

紀伊カンナ『春風のエトランゼ』1

★★★★☆

名前が変わっているけど『海辺のエトランゼ』の続編になる。まぁ「既に話は終わっている」ので、ここから転がすのも大変だよなぁと思いつつ、この「大いなる蛇足」をゆったりと、まるで二人の間で流れている時間そのもののように、楽しみます。なんか読んでて何箇所か、胸がいっぱいになるシーンがあって、いいですねぇ……いいわ……。

相変わらずだけど実写映画のような「場面の空気感」というか、マンガにおける「撮影」の仕方がすんごく上手い。この空間把握能力というか、見えない部分のレンズとの距離のとり方というか、意外にありそうでなかった感じがする。参考になります(?)

峰浪りょう『少年のアビス』2

★★★★

前の巻に続き、息つく暇もない展開。最初はそうだと思っていなかったけれど、群像劇の様相を呈してきたのもすごく良いです。ただ、テンポが早いだけに「えっ……意外に早く話が終わっちゃうのでは……もっとゆっくり読ませて……」感も。これが週刊誌のスピードか……。