Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

7.18

‪1日経ったけど、やっぱりアニメーションに現実を変える力もなければ、ましてや聖域ですらなく、いっとき見せる夢の力もしょせんはいっときで、磨き上げられたフィクションも現実の前には敗北する。この行為には、何の意味も、価値も、力も、なかった。なまくら刀・手塚治虫宮崎駿と日本人が100年間繋いできたものは、昨日で終わった、と思った。‬

これからは、どんな「夢」をみせるアニメーションの向こうがわにも、日本人は現実をうち消そうとする影を見つけるだろう。京都アニメーションの作品を見るたびに、ただ勤勉に働いていただけの人々がもがき苦しみながら殺されていったことを思い出さずにはいられなくなる。もう二度と、同じように、作り手の意図通りには作品は見られない。そしてその目は、他のどの作品に対しても少なからず向けられる。夢ははじけた。そして作り手はこれ以上に大きく価値観が変わってしまったはずで。これから、どんなことをしていても、この出来事を頭の片隅から消すことは、できない。そして若いひとにも、それを語り継いでゆくほかない。

大切なのは、どうか怒りで過去を振り向かないこと。人間として、まだ生きていること。これまで信じていたものがなくなって、指標も目標も失って、暗黒の中にあっても、それは一人ではないのだということ。新しい、より強度のあるものを、これから膨大な時間をかけて築かなければいけない、ということ。

犯人の動機が何であろうとそんなのはクッッッソどうでもよくて、これはアニメーションや、クリエイターや、創作そのものに対しての攻撃だった。その意味でこの事件は9.11に限りなく近いものだと思う。アメリカが、それでも自分たちの正義は世界をよくしていたんだと、信じていて、それが感謝どころか始業したばかりのオフィスビルで虐殺が行われなければならなかったんだって気づかされたときから、あの国は完全におかしくなってしまった。どんなに小さくても、自分達の行為がバタフライ・エフェクトとなって、そして返ってきた結果なんだ。どう誤魔化したところであの犯人を生んだのは自分達自身なのだ。けれどアメリカが良くなかったのは、やっぱりこれに逆上してしまったことだ。変えてしまったのは国の形だけじゃなくて文化そのものでもあって、『アルマゲドン』や『タイタニック』ではなく、現実とはかけ離れた『アバター』やスーパーヒーローものが持て囃されるようになって。その変化に善悪は問えなくても、けれど日本のアニメーションはこれから、あれくらいの地殻変動を覚悟しなければいけない。

アニメーションの「夢」は死んだ。これからの漫画映画がどうなるのか全然わからないけれど、例えば一切「夢」をはさまず徹底的に現実を描いて(あるいは「夢」を全否定する内容で)、でもそれが力強さになるような作品は説得力を持つようになるかもしれない。あるいは真逆に、ピーター・ミラードみたいな徹底的に意味性のない作品も求められるかも(これは意外と今のアニメにも結構ありそう)。いずれにせよ、宮崎駿みたいな作品は、今後これまでほどの力は失っていくだろう(もちろん「過去の作品」として、古典として、輝きは失われずにこれからも一定の人を楽しませるはずだけど)。

少なくとも、"こういう時"に寄り添ってくれるだけの力があるアニメーションを、自分達は作ってこれていなかったことは、おそらく日本中のアニメーション関係者が痛感させられたはずで、そのアウトプットは、これからどっぷりと、新たに作り出される作品に注ぎ込まれていく。これまでは、決して、含まれるはずのなかった、「含まれてはいけなかった」と大多数に思われていたはずのものが。

これからの自分達は、まあ次の100年に向けての最初の捨て鉢みたいなもので、だいたいはろくでもない終わり方をしないだろうけど(未来に残るものはきっとほとんどない)、それはしょうがないよな、って、笑いも泣きもせずに、夏の庭へと出ていこう。もう去り行くものは、追わない。どうせ自分達は、やめない。


【和訳】Noel Gallagher's HFB - Don't Look Back In Anger - YouTube

I'm gonna start the revolution from my bed
ベッドの上で革命を起こすんだ
Cos you said the brains I had went to my head
君が頭に血が上ってるって言うから
Step outside the summertime's in bloom
外へ踏み出そう、夏が真っ盛りな外へ
Stand up beside the fireplace
暖炉の側から立ち上がって
Take that look from off your face
そんな顔なんて拭い去ってしまえよ
You ain't ever gonna burn my heart out
君はまだ僕の心を焼き尽くせていないんだから

So Sally can wait, she knows its too late as we're walking on by
サリーは待っててくれる
もう手遅れだって分かってるのに、側にいてくれるんだ
Her soul slides away, but don't look back in anger I heard you say
君の心が離れていく
「でも怒りで後ろを振り向かないで」
そう聴こえたんだ