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やってくれたなあ!
やってくれたなあ!!
ヴォーカルのエルセ、さめ(トラックメイカー)のさめのぽきによる音楽ユニットのセカンドアルバム。ただ、1枚目のアルバムは既に入手困難なので実質初アルバムと言ってよさそうかな。
とにかく先行して世に出ていた数々の名トラックからの期待を全く裏切らない、圧倒的なクオリティとボリュームでぶちのめしてくる全14曲。打ち込みメインのトラックも勿論いいけれど、まばゆいギターにメロディアスなキーボード、躍動感あるバンドサウンドはまさに正統派ジャパン・オルタナティブ・ロック! 何より、アルバム全体を串刺しにする世界観とグルーヴ*1がオリジナリティの塊で、あたたかくも残酷、繊細でエモーショナルな音楽たちは圧倒的です。……というかサポートのバンドメンバーがおらず、全てのインストゥルメンタルがさめのぽき名義なんだけどマジか!!マジかよ!!!ギターもキーボードもクオリティ高すぎだろ!!!!*2絶対ただのカタギ(さめ)じゃないでしょ!!!!!
エルぽきの新たな名刺代わりとなるであろう名曲「STAR」、リミックスされ破壊力が増した「.NEW WORLD」、歌詞も見事なバラード「ghost」、普通にシングル曲みたいな「バスルーム」、夏三部作へと物語を繋ぐエモーショナルな「n a g i」、この中ではかなり異色作となるビートロック風の「深海列車」などなどなど、今どきアルバム曲として入れとくには名曲がありすぎて頭がおかしくなる位のとんでもないアルバム。そして、「アルバム曲」として最初に聴かせてくれてありがとう、の気持ち……! アルバムのロマンチックをまだ共有できる人がいるんだ、というだけで僕には勇気でした。そして「STAR」や「ghost」、そして「深海列車」なんて正に!!だけれど、ライブハウスでの熱気あるバンド演奏が今から目に浮かんでしまう。V...いや、あまたの日本のミュージシャン全部ひっくるめて、いま一番、生バンドでのライヴが見てみたいアーティストだ!
あえて言えば、多くの歌詞が抽象的、または観念的なので(それ自体がコンセプト、あるいはストーリーなのでしょうがないのだが……)、そこが人によってハマれるかどうか。好みが別れるとしたらそこだけ! そこさえ乗り越えたらあなたの“今年の10枚”に最速ノミネートすること間違いなしです。そういえば言い忘れてたけど、VTuberのオリジナル音楽だぜ。
『SPLASH』のCD版はboothで販売中、ストリーミングは2021年10月解禁予定とのことです*3。CD限定の「この世界について」のさめのぽきカヴァーは、エルセへのメッセージのようにも聴こえました。