Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

幌山あき『マーブルビターチョコレート』

★★★★☆

これはすごい! あっけらかんとパパ活にいそしむ女の子を、才能も根性もセールスもない作家が週刊誌向けルポ執筆のために「買い上げる」という物語。ふたりのキャラクターの分厚さ、鮮烈なダイアローグ、悪意がないゆえに「正確」で「邪悪」な世界、まったく無駄のない展開……。そして最後、あまりにも強烈なクライマックスが、読者の視線をぐるりと逆転させる。読んでいる人を決して安全地帯には座らせない、もう一度頭から読み始めた自分自身にすらゾッとしてしまうような……。頭をぶん殴られたぐらいの衝撃でした。こんな「甘くてビターな痛み」ですら、ロマンチックな妄想の足しにしたのちどうせ掃いてゴミ箱へ捨ててしまうんだ、私たちは。

ただあえて言えば、(これは作品の出来じゃなくて僕の欲かもだけど)1巻で走り抜けるにはちょっと短かった……! 無駄がなさすぎるゆえの駆け足展開なので、2〜3巻くらいのボリュームで読めたなら、さらに重層的な内容になり得た(あと下衆な話、メディアミックスもしやすかった)のかも。これだけ描ける作家さんなので……これは次回作が楽しみです。