Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

高橋那津子『昴とスーさん』1

★★★★★

め っ ち ゃ 大 好 き な や つ 。

これはやばい。うわーやばい。一見平凡なカップルに起きてしまった「ある出来事」が、その後の二人の日々からゆっくりと、じわじわと描かれてゆく。小さなアパートの一室で、寄り添いながら、支えあいながら、励ましあいながら、若いふたりは一日一日を懸命に生きてゆく。互いの守り合う心の強さはホンモノでも、体の強さは、生きる力自体は、そして砕け散った夢は、容赦なく二人のか弱さを浮き彫りにしてゆく。日々のディティールを丹念に描きながらもドラマチックなストーリー、そして手塚治虫を彷彿とさせるような色気ある抜群のグラフィック、どれもが超ハイレベルで、それゆえ決して見たことない設定……ではないこの物語を、圧倒的で、特別で、切実なものに仕上げている! 何より好きだ。大好きだ。超ツボなんです、こういう静かな「目線」を絡ませあうタイプの作劇が……。めっちゃマンガ描くのがうまい人だ。ああ、すごいわ……。

クッソネタバレだけど、もし工藤新一と毛利蘭があの街で生きてゆけなくなったら、こういう生活を強いられたのかもしれないね。

<ねぇスーさん/もし もっと小さくなっても/私が守ってあげるからね>
<よくいうよ>

雁須磨子『あした死ぬには、』1〜2

★★★☆

話題作ですが、2巻まで読んでもあまりピンと来なかった。お前はまだ更年期障害って年齢じゃねーからだろ、と言われたら仕方ないけれど、もうちょっとガッツリ「死にたい」に向き合っても良いんじゃないかな、とか、もっと真剣に(日々ぼんやり思うとかじゃなくて)テーマを掘り下げた内容ならいいのに、とか。

志村貴子(など)と違って、描いている地の部分がそこまでエンタメしてないのも一因かもしれない。キャラクターがそんなに魅力的に映らなかったかなあ。ざっくり言えば、単にストーリーがあまり面白くない作品。「面白い」はもうそれほどはいらない、というのも40代のキブンなのだとしたら、仕方ないけれど。

谷川ニコ『私がモテないのはどう考えてもどう考えてもお前らが悪い!』18

★★★★

シリーズ史上ワースト級の下ネタから華やかに幕を開ける第18巻。そういえば勉強合宿ってやったなぁ、意外と高校三年生って忙しかったよな……とか、わりと鮮明に自分の高校時代のことを思い出したりしました。ヘタな少年・少女マンガより、よっぽどリアルに現代の高校生を描写できてるの、ほんと貰い事故みたいで面白いです。だってこれワタモテだぜ? マンガの神様に選ばれてしまった唯一無二の作品。

特装版のおまけ冊子に入ってた「もしもワタモテが萌え4コマだったら」も風刺が効いててムチャクチャ面白かった。こういうパロディやらせたら強いなぁ、谷川ニコ。一緒に入ってる相関図もキャラクターが一気に整理できるのでおすすめです。

オカヤイヅミ『ものするひと』1

★★★☆

「ことば」を仕事にする主人公の、「ことば」との静かな戦いを日常描写を交えながら淡々と描いた作品。イラストレーターっぽい絵柄も相まって、その「静かな」息づかいが伝わってくるのがとても魅力的。ただ一方で、「たほいや」はまだしも文壇バー(何だよ文壇バーって!!)で始まる言葉遊びはあまりにもハイソでおしゃれすぎて、ちょっと気持ちが冷めてしまったことも否めない。さすがに筆者の「理想の文学者」イメージが過ぎていないか、恣意的すぎないか、と思ったのにインタビュー読んだらこれマジなの? ちょっとドン引いてしまった……。けど、そういう僕みたいな人間はそもそもこの作品のターゲットじゃねーんだろうな。続きをもちろん読みたい気持ちと、このノリが続くのはさすがにキツいなという気持ちでぐちゃぐちゃになる作品でした。僕も一応物書きのはずなのだが……。

桜井のりお『僕の心のヤバイやつ』3

★★★★

3巻にしてもうここまで来てしまったか……。というか市川が山田よりよっぽどえろいというか、ちょっと性的すぎないか彼は!? 雨の日に右目が出てくるシーンめっちゃドギマギしてしまったぞ……山田と同じく、自分の性的魅力に気づけてないんだろうな〜。いやーえろいな……。こういうタイプの作品で、山田がぞっこんになっちゃう理由が性格だけでなく示されてる作品って、実は珍しいかもね。改めて「まなざし」の表現が素晴らしいです。

漆原友紀『猫が西向きゃ』2

★★★

やっぱりちょっと精彩を欠いてる感じ。なかなか物語が隆起したり陥没したりしてくれない。……という意味では、シンプルな設定で最後まで走り切った「The tail is on the stairs.」や、めちゃめちゃ『蟲師』っぽくしといてそこからわざと踏み外すセルフパロディ感がユニークな「The tail is beyond the snow.」は楽しめた。もっと話をスリリングにするべきだ、ともカンタンには言えないので、ではどうすればいいのかな……難しいですね……(一緒に考えてしまう)。