Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

ネクライトーキー『ZOO!!』

★★★★☆

ライバルはネクライトーキー。

10年に1枚のデビュー・アルバム『ONE!』で鮮烈な登場を果たし、ほぼ半年でリリースされた『MEMORIES』も快作だったネクライトーキー。それからさらに半年、『ONE!』からは1年1ヶ月というスピードリリースになったのがこの2枚目のフルアルバムだ。『ONE!』が足掛け数年にわたる地道なデモCD作りの結晶だったとすれば、今作はそれよりも相当タイトなスケジュールで曲が書かれたに違いなくて、どうしても前作と比較はしてしまう内容だった……。単刀直入にいえば、全体的にちょっとアレンジが凝りすぎで、前の2枚よりも単純明快なポップさが後退してしまったように思う。1曲それぞれがどう、というよりは、そういう曲が集まり過ぎてしまったというか……。特に前半が、アルバムを立ち上げるにはちょっとテクニック的にトリッキーなものに偏りすぎていた気がした。『ONE!』では箸休め的だったもっさ曲の「夏の暮れに」は、逆にこのアルバムではキーのナンバーになっていて、周りの曲をスッと日常に着地させる役割を果たせていたように思う。もっと「虫がいる」みたいな曲が入っていてほしかったな。「放課後の記憶」も曲順次第で聴こえ方は変わっていた気がする。なまじ『ONE!』の次なのだ。やっぱりどうしても……決して悪いアルバムではない、どころか十分良いんだけど……。

全体的に前作より、音の隙間が意識されている。そこが一番大きな変化だろう。「涙を拭いて」もスカスカになっていて、やっぱりMV版のアレンジのほうが好きだった……でもこれは“好き”の話であって、以前のように大音量でガヤガヤ掻き鳴らすのではなく、すこしおとなになって、スッと背が伸びた、軽やかで確信犯的になりつつある新しい姿は、以前よりもずっとずっと眼差しが未来に向かれているように思えて、さびしいけれど、でもそこは素晴らしい。自分は思っていた以上に、ネクライトーキーにはチャイルディッシュな「ドカドカうるさい」感じを求めてたんだな……。バンドは間違いなく新しい場所へ進もうとしている。正に「北上のススメ」そのままだけど、音楽という野球は決して9回で終わるわけじゃないし、これから何百回でもバッターボックスに立つ姿をこれからも追い続けていたい。(でも、まだまだ大人にはなっちゃうなヨ!!ともやっぱり願っちゃう)

『ZOO!!』のハイライトは後半だ。静かで叙情的なバラード「深夜とコンビニ」はもっさの静謐なヴォーカルも相まった名曲。サビの歌詞があまりにせつない「ぽんぽこ節」、さっき書いた「虫がいる」(この曲は2番の歌詞でひっくり返るのがいい!)、そしてタイトルの名付け方も含めてカオス満載な「渋谷ハチ公前もふもふ動物大行進」は大好きな曲になった。クライマックスにふさわしいスケール感の「朝焼けの中で」も良かった。全体的に歌詞が、日々の景色をゆったりと追うものになっていて、それはアルバム前半も含めてとてもジーンときたな。

で、実は一番残念なのはこの「波のある生活」が未収録になったことかもしれない……めっちゃくちゃいい曲なのに……(せめて配信リリースして……)。