★★★★
実はハチ名義も含めて初・米津アルバムでした。あ、どうも初めまして……。
冒頭3曲のファンキーなR&Bはどう聴けばいいかよくわからなくて通り過ぎてしまったけれど、それでもサウンドの緻密さ、完成度の高さ、そしてどこかダウナーで奇妙な雰囲気にいきなり圧倒される。野田洋次郎がボカロと化している(それくらい米津のメロディラインの個性が強い!)「PLACEBO」、ええええっそんなイントロなの!?!? って驚かされる「パプリカ」のセルフカバー、緊張感がはんぱないパワフルなトラックが凄まじい「馬と鹿」などなどなど、濃密なのに一気に聴かせるここまでの流れは、まるで10年分のベスト・アルバムかと勘違いしそうなくらいだ。
「Lemon」、「まちがいさがし」あたりはぐっと聴きやすくなり、歌詞もちゃんと頭に入ってくる。「ひまわり」は自分が普段から馴染みのある音楽ジャンルに近いこともあってお気に入りの1曲になった。とか聴いているうちに既に10曲目である。「全15曲、ヒットシングルたっぷり、総尺60分近い……」という、聴くにはそれなりに体力がいるアルバムだなと身構えていたけれど、とんでもない。時間がぶっ飛ぶような音楽体験だ。
正直まだあんまり聴きこめてないけれど、それくらい「一見さん」な自分でも圧倒されてしまうくらいの、凄まじい完成度……それでいて「とてもキャッチー」ってわけでもないマニアックさもあり、聴き応えがある……なのにこんなにも聴きやすい! という、ただただスゲーな、と思える1枚でした。これがミリオンセラーの実力か……。