Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

ナユタン星人「銀河電燈」

★★★★☆

「ダンスロボットダンス」「惑星ループ」などで知られるボカロP、ナユタン星人の4枚目のアルバムに収録されていた楽曲。アルバム自体はストリーミングでリリースされていないのですが、この曲だけシングルカットされたのでたまたま聴くことができた。


とにかく間奏のリフがエモい!!!! エモすぎる!!!! こういう曲を作る人だったんだあなたは!!!! みたいなギャップも相まってめちゃめちゃ好きになっちゃいました(「ダンスロボットダンス」も好きだけど!)。 ミュージック・ビデオがクソ良い(アルプス一万尺してるシーンが泣けます)のですが、いやいや楽曲自体からもちゃんとこの世界観は出ていて。本当に、ああ、もう……弱い。僕は弱いんだよこういうのに。ただただそれだけです。

<最後から ひとつ前の駅に行こう>

CHiCO with HoneyWorks「醜い生き物」

★★★★☆

名盤『瞬く世界に i を揺らせ』以来となるシングル表題曲。

 RADWIMPS的な(より正確には桑原彰的な)爽快痛快ギターロックにのせて、自意識でカッチカチに固まった主人公がどんどん揺さぶられていく様子が描かれる。後ろ向きで、世界に絶望していて、ひたすら独り言をつぶやいてるだけの内容が、躍動感あるバンドサウンドで刻まれていくのがすごく快感です。青春って醜いし、そもそも人間って醜い。そして、そこがスタートだ。始まりの音楽なのだと思う。

歌詞では特に性別に触れていないけれど、MVでは女性同士の強いフレンドシップ(もちろん恋愛かもしれない)に変換して描かれる。実はハニワって、こんなに恋愛ソングを書いてきたにも関わらず「恋」については全部ヘテロ・セクシュアルな内容だったので、意外なことに(本当に、意外なことに!)HoneyWorksにとっても新しく大きな始まりの一歩になった。

<秘密の場所で会おう>

BUMP OF CHICKEN「Flare」

★★★★★

キホン、このバンドの曲は、一つ残らず突き刺さる。だって命くらい大切なバンドなので。だけれど、時々、そんな中でも、さらに“今”の自分にめちゃめちゃシンクロする曲が絶好のタイミングで発表されたりして、本当に、ビビり上がることがある。藤原基央は、たぶん僕の部屋のどこかにNINJAのようにひそんでいて、僕の曲がった背中を見ながら歌詞を書くことにハマっているのだろう。なんて悪趣味な男だ。

まず、一行目から、これだぜ。

<もう一度起き上がるには やっぱり
 どうしたって少しは無理しなきゃいけないな>

まだまだ続く。

<自分にしか出来ない事ってなんだろう>

<何が許せないの 何を許されたいの
 いつか終わる小さな灯火>

<何回もお祈りしたよ 願い事
 どうしたって叶わなくて 諦めてしまった
 忘れやしないけど思い出しもしない事>

<昨夜 全然眠れないまま 耐えた事
 かけらも覚えてないような顔で歩く>

<壊れた心でも 息をしたがる体>

最初、<どこにいんだよ ここにいんだよ>と唄われる歌詞は、最後、<どこにいんだよ ここにいんだよ>と変わる。最初はちょっと意味が取りづらいんだけれど、何度も聞き込んでいると、突然見えてくる景色がある。そうだ。<ここにいたんだよ>に変わるのは、主人公が交差点の向こうへ既に歩き出しているからなのだ。交差点の向こうには、ぐっすり眠れる夜も、楽ちんに起き上がれる朝も、自分だけの命の役割も、いつか手から零れ落ちてしまった落とし物も、何ひとつ待っていてくれはしない。

答えも、救いも、希望も、ない。何もない。それでもわたしたちは繋ぐのだ。「とりあえず」明日へ。とりあえずは、せめて、交差点の向こう側まで。孤独だ。不安だ。心配だ。何ひとつ状況は変わらない。そう、変わらないんだぜ……どんなに頑張ったところで。だから、大丈夫なんだ。

<あなたのための月が見えるよ>

Alicia Keys, Brandi Carlire「A Beautiful Noise」

★★★★

Alicia KeysがBrandi Carlileを客演に迎え制作した楽曲。

和訳がネットに転がってないくらいマイナーな曲みたいなのですが、それでも、どういう曲なのかは、たぶん、伝わるはず。僕も「たぶん……」だけど、でも、そういう曲だろう。ブランティ・カーライルが男装をして、違う色のピアノを弾いている(まるでピアノの白鍵と黒鍵のように)から、きっとこれは女性だけの唄、黒人だけの唄――ではないのだと思う。だから僕も心震えました。タイトルもいい。「A Beautiful Noise」。

I have a voice
Started out a whisper, turned into a scream
Made a beautiful noise

From the silence of my sisters
To the violence of my brother
We can, we can rage
Against the river
Feel the pain of another
I have a voice

この動画は2020年10月29日、大統領選挙のわずか5日前、米CBSの選挙特番で披露されたものみたい。

阿部共実『潮が舞い子が舞い』3〜5

★★★★

「しかしこのマンガはあれだな。読んでも意外に感想がまとまらないな」「まとまらない?」「ひたすらずーっと会話だけだ」「まぁそうだね」「延々とカンバセーションだ。ダイアローグだ。ハブ・ア・トークだ……」「全部同じ意味だね」「人がしてるただの会話にいちいち感想をつけようというのもおかしな話だろう」「ふむ」「他愛のない会話というのは、そもそも人に何も授けない。ゆえに「他愛」がないと言われるわけだ」「まさしく」「何も受け取っていないのに、それから感じて想えというのはまあ無理」「……ほう。何も感じていないし想ってもいないと?阿部共実からは?」「えっ、んあ、は?」「あの子が恋に落ちた瞬間、その子の世界がグラッと揺れた時、あほを極めた会話の先に永遠でない時間をその目に視た刹那……君は何も感じ想わずフィーリングせずエモーショらなかったと?」「同じ意…味ではないじゃねえか多少」「てへ」「とは言ってもホントにまとまらないんだよなぁ。そもそもマンガというより、よくできた演劇を見ているようだ。読み返すときも、同じページ・同じコマを目で追ってるんじゃなくて、同じ役者に何度も同じ場面を演じ直してもらっているような気持ちになるぜ」「しかし今更なんだけどさ」「さ?」「変わったマンガだよねこれ」「途端に感想がまとまったな」。

金田一蓮十郎『ライアー×ライアー』1〜3

★★★★

ebookjapanの無料キャンペーンで読破。「そんな無理な設定どうやって引き伸ばすねん!!」という荒唐無稽なシナリオを、なかなかどうしてしっかりドラマにして展開させているのだから面白い。こんな主人公嫌だけどな!!! 沼じゃん!!! でも、こうして“男”を自信なさげに振り回し続けるのは、とても伝統的な少女マンガのヒロイン像なのかもしれないな。続きが気になりました。