★★★★☆
<私の思考は突然あちこちにばらけ始める/集中力が続かない/かと思えば/何かひとつにとらわれる>
昨日の自分も、明日の自分も、いまの自分とはまるで違う自分。こころは言葉に直らない。いつもわけがわからない。それでも自分は動き続ける。いや、「滑り続ける」「流れ続ける」というほうが正しいのか……。
名づけられない関係、名づけられない状況、名づけられない行動、そして、名づけられない気持ち。世界のグラデーションのごくごく淡いところまで、深くしっかりと描かれた志村貴子のスペシャルな作品。これ読むとあの『娘の家出』すらまだ途中だったのかもと思わせられる。
そして結局のところ、どこまでもバカバカしくてコミカルで、そして何よりロマンチックなんですよね。そう、この「ロマンチックさ」よ!!