★★★☆
前作からわずか1年でリリースされたセカンド・フル・アルバム。がんばっている!
アニメキャラ「ピーナッツくん」がその世界から飛び出し――超ドープなヒップホップをかますという異様さで強烈な印象を放った前作とは方向性がチェンジし、「VTuberとしてのピーナッツくん」をメインに据え、フューチャリング曲も多く取り入れた内容になっている。なので、前よりは聴きやすいと言えるかもしれない。
ただ、特に前半〜中盤にかけての、葛藤や苦しみを全面に押し出した内省的なリリック、そしてやたら匂い立つセクシュアルな描写(それを女性ヴォーカルがやる感じ)……このメイン2つにあまりのることができなかった。単純に僕の好みもあるけれど、ある種の作品としての迫力があった前作とは違い、やや平凡になってしまったかも、というか。おそらくはソングライターとして、そういう曲がやりたいタームが来てはいたのだろう。これなら、逆に「Super Chat」みたいな曲の方がかえって普遍的なものになっていったような気もする。
ディスる相手にフック部分を渡している構造も面白い「未来NEXTメシ」、見事なラブソング「ペパーミントラブ」は特に印象的な楽曲だった。ゴリゴリのトラックにのせて力強く希望を唄う「Unreal Life」が最後に入っていたのはちょっと救われた気持ちになりました。