Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

RADWIMPS『2+0+2+1+3+1+1= 10 years 10 songs』

★★★☆

RADWIMPSのアルバム。東日本大震災に際し発表してきた10曲を収め、満10年となる3月11日にリリースされた。

発表当時から既に多少の違和感はあったんだけれど、特に最初の数年の作品、「ブリキ」や「カイコ」、「あいとわ」などは、震災そのものを描いたものでも、そこへメッセージを届ける唄でもなく、「遠くで大きな悲劇が起きた」という自分の中の「悲しい〜!」という気持ち、そして憤りをそのまま自問自答して消化するためだけの曲になっている。だから、確かに曲を書いたきっかけは震災なのだろうし、曲自体の存在意義もアーティストの表現としても全く問題ないにせよ、10年を経た東北の景色……そして海の写真を収めた「あの場所」の物語のアルバムとしては、正直内容はずれていると思った。

ただし、後半の「空窓」は一転して“あの場所を生きた”人々が前へと進んでゆこうとする、力強くも儚い物語が展開されていて、素晴らしかった。そしてテレビドラマのために書き下ろされた「かくれんぼ」、そして「あいたい」。この3曲は間違いなく、10年という時間の経過を、あの海の向こうへ想像力と共に飛ばしてゆく見事な音楽でした。

前向きな言葉、政治や行政への不信と不満、それはそれとして健全無事なままの自分と自分の愛しい人、そして故郷を離れて今も生きてゆく若い人々――さんざん色々と描いた挙句、それでも結局、<会いたい>というどうしようもない淋しさに最後は戻ってきてしまう、そんなアルバムの終わり方が僕は大好きでした。

ちなみに……だけど、<君がいなくなって ほんの少しだけ軽くなったこの地球>という歌詞。質量保存の法則がありますから、たとえ<君>がいなくなっても、君の重さはまだこの地球に、そのまま残っているんですよね、ほんとは。