Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

PEOPLE 1『PEOPLE』

★★★★★

2021年最大の注目作だった。

アルバムがただの先行シングル・バリューセットと化し、初っ端からシャッフル再生されてしまうこともままあるこの時代に、PEOPLE 1待望のフルアルバムでは、インスト含め実に9曲もの新曲が用意されている。そして、そのすべてがキラーチューンだった。楽しく賑やかだけど一方でささやかなオープニング・ナンバー「PEOPLE」が途切れると、超ご機嫌リードナンバー「怪獣」の変態的サウンドがヘッドフォンで炸裂する。サビでダウナーになる仕掛けも含めて中毒性ばつぐんだし、<怪獣にならなくちゃ 等身大じゃ殺されちゃう>という実にピポワン的なへろへろ人間の決意に、そして本当に本当に「まさにそれだ!!」っていう大好きな大好きすぎるフレーズ<次の時代のページを捲って…>からの一連のパンチラインには、とんでもなく勇気を貰えて。最後の指を外して、さあ、崖から真っ逆さまへ、行こうぜ。

<みんな今ぼくが全部放り出して逃げたらどんな目に遭うだろう>……なんちゅう真面目クンの精一杯の抵抗なんだ……とその自分っぷりに涙が出てしまうクレイジーナンバー「スクール!!」、ど鬱スロウナンバー「ゴースト」、そして、やぶれかぶれのパンクロック「エッジワース・カイパーベルト」はライブでクソ盛り上がりそうだし、そこからシュンと素に戻って落ち込んじゃったような、「僕の心」のキュートで愛らしいシンガロングなんてもう好きになるしかないだろう! 最後に隠しトラック風な「バンド」で軽やかに締めくくられるのも素晴らしかった。なんて理想的な「アルバム」なんだろう。もう、こんなの、最高じゃん……!

ただし、曲順だけはちょっぴり引っかかった。既発曲と新曲とのバランスをとった結果だと思うけれど、結果的に「新曲」がかなり固まって配置されている。でも、これだけの大名盤なら、今後10年、20年と残っていくのは間違いねーんだから、そこに囚われなくて「も」良かった。それこそ「113号室」はもうちょっと曲順上かなとか、「ラヴ・ソング」や「常夜燈」がクライマックスでもありだったかも、とか。とはいえ、そんなの、この曲の前には些細なことだ。些細な事なんだよ!! 間違いなく、とんでもない、歴史的名曲が、これだ。「魔法の歌」。


いわゆるネット音楽的アニメーションMVの歴史にひとつのピリオドを打つ、大いなる達成に拍手を贈りたい大傑作MVと共に。もう、もう、語り切れない……語り切れないよこんなの……!!

<僕はそういう人だから/背中をさすってあげられない>

<生き辛いよな/この世の中は/色んな事が分かってきてからはもっと涙がこぼれそうだ>

<僕はこういう人だから/自分を愛してあげられない/そんな自分を愛している自分にだって気付いているんだよ>