Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

『リメンバー・ミー』

★★★★★

めっっっっちゃええやん!!!!!!

ラテンアメリカ(主にはメキシコ)の「死者の日」をモチーフに、ひょんなことで「あっちの世界」に転がり込むことになった少年の一夜の冒険を描いたストーリー。

いいところ挙げたらキリがないくらいなんですが、まずコンセプトがいい。「死者の日」に実は起きている「本当のこと」、家族のもとへ戻れるのは写真を飾っている場合だけ、忘れ去られると「本当の死」が訪れる……(「人は誰でもそうなる」とミゲルを励ますのもいい)。そして物語のあらすじ自体もそうですが、児童文学ではおそらくわりとある(それこそ『思い出のマーニー』や、とても似たものだと同じく傑作である『KUBO/クボ』とか。ちなみに『KUBO』とはわずか一年違いの発表!)アイデアにひと捻りふた捻りを加えて、「すぐ向こうがわに“あの人々が生きている”」世界を見事に作り上げていて。もうこのコンセプトだけで優勝している。すごくよく出来ている!

そして、これらの世界がめっちゃ「身近」なのがいい!メキシコの田舎町の景色も、「死者たちの国」の妙に世帯じみた生活感も、いずれもとてもリアルで、本当にそこに人間が生きづいている肌触りがある。おかげで、この映画が意外なくらいファンタジーに感じられない。まるでこれが真実であるかのように伝わってくる。この……安易なことばなのでそれほど使いたくなのですが、「やさしく」て「あたたか」なところ、あんまりイヤな人がいなくて皆ちゃんと聞く耳を持っているところ(「グラシアス!」で繋がっていくのが嫌な感じじゃないのが本当にいい、し、見事)とか、隅々に渡るまで作品世界が絶妙にチューニングされていて、ほんと、こういうチューニングをみんなもっとやったらいいのにと思うくらい……。

あらすじもとても自然で、慌てて話を動かされている感も、逆にタルくなってくるところもなく、だからこそ最後、とってもとっても地味なセットで物語が終わりを迎えていく(こういうラストになるのはかなり最初の方で予想がついているだけに!尚のこと!)のがかえってドラマチックになるのが泣かせるのです。実写でもなかなかできないすごいラストシーン。めっちゃうまいやん物語!!!! 物語といえばストーリーもクソ巧み。ほんとうまいです。もうそれしか言えない……全部が「完璧な」ラストシーンのための伏線になっているわけだ。パーフェクトゲーム。これで泣かないのは無理。はーーーー(まだ泣いている)。

「家族のつながり」が一つのテーマではあるわけですが、物語の根底に「家族のつながりが人を縛りつけてしまう」悪い面もしっかり内包されているのが見事。そしてエンドクレジットでもうひと泣きです。ずるい。ずるいっつーのこんなの。言い忘れてたけど音楽まで最高だぞ。完全試合だろこんなの……。

あえて言えば、「1年後…」だけ余計だった(あそこで終わって欲しかった……)。監督は『トイ・ストーリー3』以来となるリー・アンクイッチ。いやこれ、ピクサー史上でも3本指くらいの傑作なのでは……。ちなみに、これがジョン・ラセターが在籍中に送り出せた最後の作品になったみたいですね。

本ページの情報は2021年6月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。