Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

『ズートピア』

★★★★☆

「まだ観てなかったのお前〜〜〜〜」って言われそうだな〜〜〜騒がれてた理由が分かった! これは凄いわ!

ストーリーのテクニックによって巧みにそう誘導されるから、だけれども、「草食動物」=「弱い」・「肉食動物」=「強くて恐ろしい」という無意識下の刷り込みが見事に「善き者」であろうとする視聴者の立場を逆転させる。ジュディが失敗するからこそ、「わたしたち」に鏡のように刃物の言葉が跳ね返る。「強きもの」が「弱きもの」を弾圧するのではなく、9割の「弱きもの」が1割の「強きもの」に怯えるからこそレイシズムは生まれるのだ。ホテル=ルワンダじゃん!! わざわざ用意されたアナ雪をこするセリフは皮肉なくらいこの映画の見事さを描き出していた。「Let it go.」。

もちろんバディものとしても圧倒的に面白いし魅力抜群。ジュディのこともニックのことも好きになるしかない! この二人の「それぞれ足りないところ」のバランスがすばらしく絶妙で、テンプレートを踏襲しつつも少しづつ要素を入れ替えていて、このふたりが一緒に並んで立っていなきゃダメだと思わせてくれる。だからこそニックが立ちはだかってくれた時は自分の事のように嬉しいし、ニックに失望された時は同じだけ傷つくことができるのだ。ダイアローグもいちいち見事。物語自体はとてもスタンダードな「刑事モノ」というバランスも絶妙だった。逆に言うと、この「刑事モノ」としての普通さがこの映画の欠点かもしれない……ここまで全てが面白いと(あるいは『よく出来ている』と)、最後のどんでん返しが中盤のどんでん返しに魅力で負けている。でも、もういいんだそれで。十分……。

この映画は続編作んなきゃダメでしょ! これこそ作るべきでしょ!! というか見せてくれよ!! けれど、現実の「ズートピア」がどんどん大変なことになっていってるが故に、続編へのプレッシャーは高まってしまっているかもしれない。特にアメリカでは、警察官という設定がシンクロしすぎてここ数年で皮肉なくらいセンシティブになってしまった。次をやるとしたら、どう描くのだろう。この辺も想像してしまうぜ……。

そして誰もがここを書いているでしょうが……ナマケモノのシーンは記憶に残る限りのディズニー映画で一番笑いました。

本ページの情報は2021年6月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。