Wi-Fi飛んでる? 神さまって信じてる?

音楽・マンガ・映画・その他 いろいろ感想をメモしておくブログです。

*漫画

くずしろ『兄の嫁と暮らしています。』8

★★★★☆ 素晴らしい。プロットにしたら1行で済んでしまう内容だけれど、それをここまで、ここまでも丁寧に追うなんて……! 雄弁に話しているようで実は何も話していない、モノローグも、ダイアローグも、すべてが生き生きと響くように磨きがかけられていて、圧…

高橋那津子『紅い実はじけた』2

★★★ 人々の一瞬のきらめきを、力強いグラフィックと漫画的ロマンチズムにあふれた演出で描き出す短編集の第二巻。ただ、凄まじい作劇の『昴とスーさん』を先に読んでしまっていると、どうしてもストーリー面では物足りなさを感じてしまった。前巻にあった「…

茜田千『さらば、佳き日』6

★★★☆ おおぉ話が動いた……。どうなるんだろう、これは。ディティールっぽいシーンを積み重ねているようにみえて、ちゃんと本編の伏線を貼ってたりするのがあなどれない作品ですね……(P95とか)。あと、いい意味で、絵が変わってきた感じがします。

鈴木小波『ダンジョン&デリバリー』

★★☆ 感想としてここに書こうか迷ったくらいなんですが、いやでも……鈴木小波の新作だし……。 「ダンジョンの中へグルメな食べ物を運ぶ」「戦う相手はモンスターだけど武器のメインは剣で全体的に敵も和風っぽい」「ネタ元自体はウーバーイーツ」「動画配信者が…

白樺鹿夜・江本マシメサ『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』1

★★★★ 退役軍人の妻が北欧(おそらくはフィンランド)の雪深い小領に嫁いでくるという物語。 「仮」の夫婦となるリツとジークがどっちもいい! 互いに敬意を払っているのがとても素敵。ざっくりした絵柄だけどポイントを抑えた作画も特徴で、かなりディティー…

犬上すくね『想うということ』

★★★★☆ めちゃくちゃいい!! オールドファッションな少女マンガ短編集ですが(実際、2003年の単行本を新装版にしたものらしい)、隙間を意識したスッキリした画面、可愛らしい絵柄はもちろん、よわいものがあるとき「気がつく」、その瞬間の飛躍や舞い上がる…

峰浪りょう『少年のアビス』3

★★★★☆ おもしろ!!!!!! そう来たか! という展開に思わずニヤリ。サスペンスであると同時に、そしてこれは過去作『ヒメゴト』も『初恋ゾンビ』もそうだったけれど、上質なミステリーでもあるのだ。それ以外の部分も十分魅力的でまだまだ語り足りない箇…

沙村広明『波よ聞いてくれ』8

★★★☆ 北海道地震編、作品自体のクライマックスになるのかと思いきやあっさり終わってしまった。でも最後までしっかりエキサイティングで、諸々の人物模様が最後にはほどけていくのも、そして災害報道というテーマにがっつり挑み取り組んでいたのもとても良か…

重野なおき『信長の忍び』17

★★★☆ いつも通り読んでしまうというか、取り立ててハイライトもダウナーポイントもなかった第17巻。ワクワクはちょっぴり減ってきたかな……良くも悪くも「学習まんが」の趣き。小ボケを挟みつつもわかりやすく、そしてかなり贅沢にページを使って、丁寧に史実…

高野ひと深『私の少年』9

★★★★ う~~~~ん。最後の最後に、二人が何か大きな一歩を踏み出すのかなと思っていたけれど、ほとんど全く変化なしで終わってしまった……。でもこれが作者のやりたかったことなんだろう。そうなんだろうけど……。聡子があそこまで「家族が怖い、恋が怖い」と…

アッチあい『愛しの国玉』1

★★★★ 「いや、そもそも猫とは結婚できねーし!!」という大前提がズッポリ抜け落ちたまま話が進んでいくのが実にアッチあい的なサイコパスっぷりですが、だからこそいいというか、豊かなんですよね。世の中でBLとか百合とか、ただラブラブする相手をセックスだ…

こざき亜衣『あさひなぐ』32〜33

★★★★☆ 最終決戦。 <不幸は事実ではなく心がもたらすもの。 不確実なものを愛し、追うことができる彼女たちは きっと幸福だと思いますよ。 愛されるために生きるよりずっと…> <私の中の血が流れる、 大きな音が聞こえる――>

山口つばさ『ブルーピリオド』8

★★★☆ アイドルとかを全然いいと感じたことがなく、「頑張ってる人を見てると勇気がもらえる」というのもよくわからないけど、確かに八虎くんは応援したくなるな……。 講評会のトラウマ(「評価しなくていいよね?」とほぼ同じ経験をしたことがある)や、考え…

高橋那津子『昴とスーさん』4

★★★★☆ スーさんをつなぎ止めるもの――が、あまりにもあいまいで、だからこそ一つ一つの、一歩一歩の日常が、はかなく、せつなく、まぶしいものとして描かれてゆく。次のページではすべてが壊れているかもしれない、その「まぶしさ」に、ひたすらハートを焼か…

Cuvie『絢爛たるグランドセーヌ』16

★★★★☆ うおおおぉぉぉまさかのアイリッシュ・ダンスも登場!! 抑圧の歴史が身体表現の、そして文化という闘いの歴史とつながっている。それから比べたら枕草子なんて……って思っちゃうけれど、きっと血と闘いに塗れたヨーロッパの人たちには全く違う感銘を与え…

紀伊カンナ『春風のエトランゼ』2

★★★★☆ ええ……めっちゃいいじゃん……。小さくてにぎやかな生活の中で、それぞれが抱いているものに触れながら、互いに気遣いながら、生きてゆく歩みをゆっくりと進めてゆく。 ゲイの葛藤にこんなに真っ直ぐ向き合った作品って意外と読んだことがなかったかもし…

紀伊カンナ『春風のエトランゼ』1

★★★★☆ 名前が変わっているけど『海辺のエトランゼ』の続編になる。まぁ「既に話は終わっている」ので、ここから転がすのも大変だよなぁと思いつつ、この「大いなる蛇足」をゆったりと、まるで二人の間で流れている時間そのもののように、楽しみます。なんか…

峰浪りょう『少年のアビス』2

★★★★ 前の巻に続き、息つく暇もない展開。最初はそうだと思っていなかったけれど、群像劇の様相を呈してきたのもすごく良いです。ただ、テンポが早いだけに「えっ……意外に早く話が終わっちゃうのでは……もっとゆっくり読ませて……」感も。これが週刊誌のスピー…

咲坂伊緒『思い、思われ、ふり、ふられ』1〜4

★★★☆ ebookjapanの無料キャンペーンで4巻まで読破。 久々にガッツリと少女マンガを読んだ気分。まだ序盤(4巻はそれなりに盛り上がる)なのでストーリーのハイライトは特になかったけれど、とにかく「先が気になる」感じを作り続けているのがうまくて、まん…

紀伊カンナ『海辺のエトランゼ』

★★★★ いい!! キャラクターデザインもとても可愛くて上手いし、何より「照明」(マンガの場合「照明」って何て言えばいいんだろう)がめちゃめちゃ素晴らしくて、ある程度狭い空間(セット)の中で生きている登場人物たちの実在感というか、そういう映画的…

宝井理人『テンカウント』1〜3

★★★☆ 『セブンデイズ』の宝井理人による人気作ーーと聞いて読んでるものの「作風結構違うんだなぁ」と思ったら『セブンデイズ』は原作・作画で分かれててこの作者さんは作画側だった……。『名探偵モンク』を彷彿とさせる潔癖性の主人公が、心療内科のカウンセ…

仲谷鳰『やがて君になる』3〜5

★★★★ ゆっっっっっっっくりとだけれど、だんだん物語の輪郭が見えてきた。自分でも無自覚なままに「自分」を見つけようともがく少女と、たまたま深く入り込んだゆえに「少女」と向き合い、成長してゆく「もうひとりの少女」。 わりとサッパリした画風ですが…

高橋那津子『紅い実はじけた』1

★★★☆ 表紙から……のいきなりの大仕掛けで早速ハートをぶち破られた。最高!! だったけれど一方で、同じ流れでハイテンションなギャグ(あるいはギャグでもない設定)をやられてしまうと、濃い目の絵柄も相まってちょっと胸焼けしてしまった。第五話「愛の逃…

藤生『ひみつのおねえちゃん』

★★★★ 『えりちゃんちはふつう』が素晴らしかったので同著作を購入。フィクションを読んでみたかったのだけど開いてみたらこちらも実録モノだった……。 すさまじい家庭環境を明るく笑い飛ばすオルタナティブっぷりにしびれた初読。「こんなのをファミリー誌に…

志摩時緒『ジェミニはお年頃』2

★★★★ もう、この……フェチと欲望を丼へ山盛りにしたような……この……(笑) でもこれがツボなんだよ僕の!! 萌え4コマとアダルトコミックの中間地点(+静けさ)。 この作品は特に、筆者のフェチズムがグッと前に出ている感じがしてドキドキしました。作者によっ…

とよ田みのる『金剛寺さんは面倒臭い』7

★★★★★ 『ラブロマ』は大好きなマンガだったけれど、ラスト数話のまとめ方(最終話は大好き)はもう一歩だったかもと思ったことがあって。今思えば、その「足りなかったパーツ」は、きっと……。 最初っからハイテンションだったこの作品のハイライトは、間違い…

とよ田みのる『金剛寺さんは面倒臭い』6

★★★★ 「蛇足」編。「そんなのあり!!?!??!???」って感じの前代未聞の第一話に始まり、やっぱりヤバいマンガにはヤバい読者しか集まらないんだな!!(褒め)って感じのアイデアばっかり作画されていて、ホントーーーにバカで世界一美味しい!!! 誰だよ小説版と…

志村貴子『ブルーム・ブラザーズ』1

★★★★ “兄弟”(おおむねゲイ)を主人公にしたオムニバス短編集。長いのも好きだけれど、こういう短編で見せるキレ味は志村貴子の大好きなところです。 繊細に描かれる心の動きを、急にガサッと崩してくる瞬間は何度読んでもたまらない。人間って得体が知れな…

志村貴子『ビューティフル・エブリデイ』2

★★★☆ 不定期連載という事情もあってか、他の作品ほど密度があるわけではないシンプルなドラマで紡がれたラブ・ストーリー。「でも、かっこいいし」「でも、かわいいし」が根元になっているのがいかにも10代という感じで“動物的”で、そのウソがないところもい…

田島列島『水は海に向かって流れる』3

★★★★★ 最後の4ページがすばらしすぎて声が出た。ぐう! こんな綺麗なタイトル回収やられたら……もう笑っちゃうしかないよな。ぐう。 前作からのプレッシャーもあったと思うのですが、よくぞ、という最高到達点にまでゆっくりしっかり登り詰めた、読んでいて最…